« オシムジャパンで初 | トップページ | 重陽の節句 »

2007年9月 9日 (日)

ラグビーとサッカーの2連戦

ラグビーW杯、対オーストラリア戦と、サッカー五輪最終予選、対サウジアラビア戦を続けて観た。

この試合を見た限りでは、日本とオーストラリアの差は、サッカーにおける日本とブラジル以上の差があるような気がした。ボディ・コンタクトが主体のラグビーでは、体格差、ことに体重の差は絶大なアドバンテージになる。同じスピード、同じ技量なら、重い方が有利だ。それは格闘技全般に共通する特性とも合致する。つまりラグビーは「格闘技」なのである。

今回の試合でも、相手のTQBと日本のFWがぶつかり合い、日本選手が倒されるシーンが見られた。ラグビーではそうした11で負けていたら、ゲインラインを簡単に破られてしまう。よく、ラグビーは15人もいるのだから1人ひとりの力の差はチームプレイで補えるのじゃないかということを聞かれるが、それはちょっと違う。

例えば、相手FWがボールを持ってゲインラインを突破してきたら、通常はそれに対抗するのはバックス陣となる。FW同士でさえ体格差、体力差があるのだから、バックス陣との差はさらに大きい。因って、迎え撃つ方は複数で対応することなり、結果数的有利を作られてしまう。

また、パスやランプレイでボールが急速に動くとき、局面はハーフ陣+バックス陣の77になることが多い。さらに、スクラムハーフはスクラムなど静止した状態からの起点になるため、展開する攻撃側とそれを阻止する守備側は瞬間的には66になったりする。加えて、スクラムからのプレイであれば、スクラムの両サイドにバックスは分散するため、プレイに直接関与する人数はさらに少なくなる。そうした状態では、個々の力の差は増幅されることになる。ボールを持つ選手にコンタクトした守備側選手が倒され、攻撃側はそのまま走り続けたら局面は守備5対攻撃6となり、守備側に圧倒的に不利な状況となる。無論、そんな状況が長く続くわけではなく、スクラムハーフやFW陣の中でも比較的足の速いフランカーやナンバー8などが参戦してくるので、ボールに直接関与する選手の数はどんどん増えていく。ボールが止まれば、即座にそこはFW同士の主戦場と化す。

それが日本対オーストラリア戦では、攻撃・守備が同数の局面から、個人の力量差で1人差、或いは2人差という局面を作られてしまっていた。しかもそこにチームとしての戦術の高さ、それを実現するテクニックの確かさが加わるから、対戦する相手はたまったものではない。それはオーストラリアのスクラムハーフ、グレーガンのプレイに如実に現れていた。

世界No.1と言われる彼のプレイは、状況判断の的確さ、判断・プレイの速さ、視野の広さ、判断結果を実現する高度なテクニック、走力、体力といったあらゆる要素がトップレベルにあることを明確に示している。ラックなどの密集プレイでグレーガンにボールが渡り、そこに日本選手がタックルやチャージをかけようとしても、その寸前にボールは彼の手から右に左に、見事に散らされてしまう。さらにチームプレイということでは、後半に、オーストラリアが日本陣内でボールを奪い、グレーガンが自分の右後ろから走り込んできた選手に、そっちをまったく見ずにパスしたシーンが典型だった。あのような局面ではセンターとウィングは必ずスクラムハーフの外に展開することなっているはずで、またグレーガンは自分の前にいる日本の守備陣形から、TQB陣が自分の右に走り込んでくることを確信していたのだろう。

あのような個々の局面でのチームプレイ、さらには試合開始から間もない最初と2番目のペナルティを、会場のブーイングを浴びようともキックで3点を取りにいく周到さ。テレビで解説を担当していた清宮サントリー監督は、アナウンサーの「日本がオーストラリアに勝つようなことはありませんか」という質問に「ありません」と即答したが、スポーツ中継の解説者であれほど自国チームの敗戦をきっぱりと言いきった人はほかに知らない。彼の目からすれば、我々には見えないもっと大きな、もっと多くの差が見えるのだろう。中継の間、どうすればよいのかといった改善のためのアイデアがほとんど聞かれなかったし、清宮監督のブログをのぞいても、「キックオフからの試合内容は、見ての通りです」とつれない一言で片付けている。そこに両者の差の大きさを痛感した。

ラグビーにスペースを費やしたので、サッカーについては簡単に書く。結果はOKだが、内容には不満が残る。ゲーム全体の中で、攻撃を徹底するポイントを作ってほしかった。それは時間帯でもいいし、或いはサイド攻撃を重点とするいった戦い方の方針でもよい。相手のプレイに合わせた、そつのない試合運びという印象が強かった。

個人では水野のプレイに迷いが感じられ、彼の思いっきりのよさが影をひそめていたと思う。森島は頑張っていたが、ポストプレイでの安定感をさらに増してほしい。昨夜の試合を見た限りでは、平山よりは可能性を感じさせてくれた。

前半をスコアレスで折り返した段階で、日本の選手の中にこの試合は引き分けで良いというムードが生まれたのだろうか。後半の立ち上がりは、勝たねばならないサウジアラビアに攻めまくられたが、あそこを凌いだのは収穫ではある。後半の後半は、高温多湿の気候も考慮した試合運びで、まずは負けないことに専念したのは現実的対応だったと思うが、そこが不満の理由でもあるのだから、サッカーを観る者は身勝手である。

|

« オシムジャパンで初 | トップページ | 重陽の節句 »

スポーツ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/220529/16390515

この記事へのトラックバック一覧です: ラグビーとサッカーの2連戦:

« オシムジャパンで初 | トップページ | 重陽の節句 »