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2007年9月27日 (木)

相撲に金属バットは要らない

時津風といえばかつての大横綱が名乗った年寄名跡であり、先代は相撲協会理事長を務めた名門である。

それなのに、と言うかそれだからこそか、古い体質が抜けきれていなかったのだろう。部屋を抜け出し、家に帰ろうとした若者に折檻を加え、殺してしまった。

時津風親方をはじめ、事件に関わった者たちがどういう罪に問われ、どういう処罰を受けることになるか--同世代の息子を持つ身として他人事に思えない。注目していくつもりだ。

こういうとき、いつも歯痒く思うのが日本では「傷害致死」か「殺人」しかなく、殺人で立件し、有罪にするには「殺意」の証明が必要である点だ。だが、人間の「意図」ほど証明しにくいものはないというのは誰にも分かりきったことであり、殺意の有無に関わりなく、結果として人を殺した場合は殺人罪(いわゆる「故殺罪」)に問えるようにするべきだろう。

酒酔い運転も同様であり、飲んでしまった後(酩酊状態では)正しい判断はできないかもしれないが、飲む前は誰しも素面であり、たとえば車で飲み屋に行けば、帰りには運転することになる可能性があると判断できるはずで、そこで自分が運転しないような防御策を予め講じるべきであり、飲む前にそうした対策を取らず、酒酔い運転のあげく人をひき殺したのであれば、それはもう未必の故意による殺人であろう。また、他人の人権どころか人命さえ奪った者の人権を保護するという理屈も正直理解しがたいところがある。

話を相撲の件に戻すと、日本相撲協会は今大きな危機に直面している。「八百長騒動」があり、その直後に「朝青龍問題」が起き、そして今回の「新弟子リンチ死事件」である。それなのに、相撲協会幹部の迅速な動きというのが見えてこない。時津風部屋に関しては捜査が行われているので、協会としても動きようがないのだろうが、他の部屋の実態調査が行われる様子もなく、親方、力士に対するリンチ厳禁の通達もなく、再発防止に努めているように思えない。

マスメディアなども、「相撲の稽古は厳しいものだ」といった論調で、若い力士に対する「しごき」めいた対応を容認する傾向が見られるのも変な話である。今、スポーツ科学は非常に発達しており、あれだけ稼いでいる相撲協会なら、それを力士の稽古に取り入れるために資金を投じることは不可能ではないはずだ。

先頃の朝青龍問題で感じたが、相撲協会に意見を述べる立場の人たちが相撲協会と一緒になってバッシングに加担しているのも解せない。朝青龍が問題行動を取るようになった、その原因・背景を究明しろという意見が出てこないのは異常ではないだろうか。

ここでまた話が少しそれるようだが、朝青龍問題に関しての私の意見はこうだ。外国人を力士にすることはよいし、それは可能だと思う。だが、外国人を日本人に仕立て上げたうえで、力士にするというのは無理があるし、これまでは外国人力士の数も大して多くなかったから成り立ってきたが、これからは難しくなるだろう。それを貫こうとすれば、外国人力士の数を制限しなければならず(実際に相撲協会が取っている対策はこれだ)、それでは「一流の技・取組を見せる」というプロスポーツとしての要件を早晩満たせなくなる。それは大相撲の衰退、崩壊につながる。或いは、それがもう始まっているのかもしれない。

先場所、立合いで両手を土俵にしっかりと付けない力士が横綱を含め多数見られた。中にはどう見ても手を付いてないだろうと思える立合いもあった。小さなことかもしれないが、自ら定めたルールを守れなくなるというのは、組織崩壊の予兆のひとつである。

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コメント

 こんにちは、富岡と申します。
今回の時太山死亡は、時津風親方の殺人だと思います。まだ17歳の少年です。稽古指導と暴行は全然違います。
親方と名のつく以上、後輩力士の教育のためにも、また相撲ファンの為にも、全事実を明白にして自首すべきと思います。

投稿: トミオカ 隆志 | 2007年9月30日 (日) 10時31分

>富岡さん
もう立件云々となっている現時点では自首はあり得ませんが、時津風親方は真相をきちんと話すべきですね。それが遺族に対して責任をはたすことになると思います。

投稿: Jack the Rabbit | 2007年9月30日 (日) 20時30分

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