« 16連覇 | トップページ | 月周回衛星「かぐや」 »

2007年10月 5日 (金)

フリーランスということ

フリーランスの翻訳者でありながら、あるいはそれを目差していながら、考え方がまるでサラリーマンのような人たちがいる。それが私には理解できない。

たとえば、翻訳料の支払いに伴う振込手数料を差し引いて支払う翻訳会社の対応が納得できないと言う。中には、そういう会社でも、社員の給料から振込手数料は引かないだろう。だったらなぜ翻訳者への支払では差し引くのだと、お門違いもはなはだしい主張まで飛び出してくる始末だ。

そういう人たちはフリーランスの何たるかが根本的に分かっていないと思う。それだから、「待遇」面で不満を感じると、直ぐに「業界」や「翻訳会社」に改善を求める。だが、長年翻訳業界を生き抜いてきた人たちはそんなことを軽々には言わない。「業界」や「翻訳会社」に意見を言ったり、要望を突きつけるにはそれなりの覚悟と実力、そして多大の労力が必要だということを知っているからだ。では彼らはどうするか。何度かは要求してみる。それで改善が見られればよし。そうでなければ、もっと条件のよい会社の仕事を受けるようにし、条件の悪い会社との付き合いは減らしていくだけである。当然、そのためには実力がなければならないが。

勿論私も不満を感じることはある。日本語と呼ぶこともできないようなひどい文章を書く新人と翻訳料が同じなどという仕事を依頼されると、正直釈然としない。だが、請負業である以上、常に自分が定めた基準通りないしそれ以上の仕事ばかりを受けることは実際問題として不可能である。時には「損して得取れ」ということもある。今回は担当者の顔を立て、次回条件のよい仕事を回してもらうという場合もあり得る。

「振込手数料を差し引かれた」「翻訳料を値引かれた」「余分な仕事を無償でやらされた」「こんな不当な扱いをするのは翻訳業界だけだ」「業界を改革しなければならない」「組合を作ろう」…。私に言わせれば、不当な値引きなどの要求は突っぱねて、そんな会社とはさっさと縁を切ればよい。ほかに翻訳会社はいくらでもあるし、そんな理不尽な対応など決してしない良心的な会社もたくさんある。個人的見聞という限られた範囲ではあるが、そうした主張をする人に限って、翻訳の実力はお粗末な場合が多い。またよくよく聞いてみると、確かに不平を言いたくなるような低料金で仕事を受けていたりする。業界の水準を下げている元凶の一つが、そうした不当に低い金額で仕事を受けている自分たちであるということには気づきもせずに。

補足あり。)

|

« 16連覇 | トップページ | 月周回衛星「かぐや」 »

翻訳」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/220529/16671389

この記事へのトラックバック一覧です: フリーランスということ:

« 16連覇 | トップページ | 月周回衛星「かぐや」 »