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2007年10月19日 (金)

梅田アマ初段vs窪田六段

梅田望夫氏がブログで、「羽生対中川の対局をニコニコ動画で観た」と書いたところ、日本将棋連盟所属のプロ棋士窪田義行六段が著作権との絡みから、梅田氏に自制を求めた。

窪田六段の主張は、著作権違反のコンテンツを見たと発言すること自体が違反コンテンツの奨励ないし容認に繋がりかねないというもの。これに対する梅田氏の回答は--NHKがもっと積極的にコンテンツの開示を進めるべきである。また、このようなネット上での無断公開については、NHK自身が黙認している状態である--といった趣旨だった。つまり、著作権者が黙認していることでもあり、またそのことで視聴する側にとっては結果的にコンテンツを楽しむ機会が得られているという現状(現実)肯定の発言である。

私は基本的に、梅田氏の主張に賛成である。NHKは膨大な映像資産を持ちながら、その再視聴の機会提供ということにはあまり積極的とは言い難い。公共放送という立場からすれば、映像資産の公開にもっと積極的に取り組んでいくのが本筋だろう。確かにNHKアーカイブスはあるが、一般人が視聴可能な番組は6000本に過ぎず(保存番組数は34万本だが)、しかも埼玉県川口市に行くか、最寄のNHK放送局まで出向かなければならない。利用者の利便性ということは眼中にないかの如き対応だ。

今のテレビというのは、特定の番組を観たかったら、その時間、テレビの前にいなければならない。それを見逃せば、次にその番組がいつ再放送されるかは(ほとんどの場合)直前になるまで分からない。それを放送局は当然の如く考えている。テレビ放送が開始された当初の、生放送が当たり前であった頃から培われてきたテレビ局の企業文化に根ざした姿勢であろう。

無論、録画という手段はある。が、それも放送時間という制約とは無縁ではなく、録画予約設定の機会を逃してしまえば、結果は同じである。つまり、今のテレビ放送には「オンデマンド」の考え方が一切取り入れられていない。技術的に不可能であった時代はともかくとして、現在は映画やスポーツイベントなどもオンデマンドでのネット視聴が行われている。著作権に関連した問題もあるだろうが、そうした障害を少しでも早く解消し、我々一般人が家にいながらにして、10年前に放送されたドキュメンタリーを気軽に楽しめるようなシステムが実現されることを願っている。また、10年を経てもなお観たくなるような番組作りに努めることも当然のこととして期待する。

もう一点、梅田氏の当惑ということについても触れておこう。自分のブログが注目されていることについては、氏自身、十分自覚していただろうが、「ニコニコ動画を見たよ」といった軽い気持ちのエントリーに、まさか日本将棋連盟所属の現役棋士からクレームが付くとは思いもよらなかったのではないだろうか。ベストセラーを物し、ブログも注目されているとは言え、自分は市井の人間で公人ではない。そんな自分の私的発言に、まさか千駄ヶ谷から物言いが付くとは・・・。以上は私の想像だが、現実とそう大きく離れてはいないだろう。無論、ネット文化に関する造詣も深く、思慮深い人でもあるから、藪から棒にクレームを付けられたからといってうろたえることもなく、かねて用意の自説をきちんと述べているが、それは決して当初意図したことではなかったと思う。

それとも梅田氏が「ニコニコ動画」の名を出したのは、こうした事態を想定した上での、深慮遠謀の1手だったのか。だとすると、初段どころか八段の実力は優にある。六段では手合い違いだろう。

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» 利害関係者〜あるいは、たまにはRimoのことも思い出してあげて下さい〜 [真夜中は別の人]
自分もブックマークした先週のNHK杯「羽生対中川」戦の逆転劇だが、梅田望夫氏があっさりしたエントリを書いたところ、窪田義行六段がコメント欄にて丁重に抗議して、エントリ本体よりコメント欄が注目されている。大した量ではないので、いちいち経緯を説明しない。以下の... [続きを読む]

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