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2008年1月19日 (土)

しつけとシステム

一昨日夜7時のNHKニュースはちょっと衝撃的だった。阿部アナウンサーが沈痛な表情で、「NHK職員3人がインサイダー取引の疑いで調べられている」と切り出した。

インサイダー取引(Insider Trading)とは「職務などで、一般には未公開・非公開の情報を知った者がそれを利用して行う株の取引」のことで、日本では犯罪とされている。

今回の事件では、企業買収に関係する特ダネを公表(放送)前に知ったNHK職員3人が、買収される企業の株を買い、翌日売却して10万~40万円ほどの利益を得たとされている。詳細はこれから明らかにされるだろうが、またもや歴史の長い大組織のタガの緩みというのが如何に防ぎにくいかを示した事件といえるだろう。現在の橋本会長の任期は1週間しかない。NHKの抜本的改革は次期会長の福地茂雄氏に託されることになる。

NHKの報道原稿作成配信システムについては、今回の事件に関連して新聞社が説明記事を発表しているが、現時点でいえることは、アカウント管理は行われているようだが杜撰であり、今回の件では「汎用化」と呼ばれる、NHK部内でのニュース原稿の「一般開示」の時期も早すぎたということのようだ。

システムの不備を突いたり、悪用したりする事件が起きるたびに言われることだが、悪用・誤用に対して万全のシステムなどというのはあり得ない。もちろん、システムを作る側は、利用者性悪説の観点から少しでも安全なシステムを目指すべきであるが、その一方で管理する側・使う側は個々の使用者のモラル向上のため不断の努力を怠ってはならない。

「犬はしつけて、はじめて犬になる」のであり、報道機関の職員も、報道機関の職員となるためのしつけ=教育・トレーニングを経てはじめてそれにふさわしい技量・知識・モラルを持った職員となる。しかしその点に関しては、橋本会長の記者会見から、万全とは程遠い実態であったのではないかとの感を強くした。当然、どんな教育や訓練を施しても、期待されるレベルの技量やモラルを獲得できない(獲得しようとしない)人間はいる。そうした人間を排除するのか、再教育や訓練を続けていくのかはまた別問題で、まずは組織の要請に適切な人材を育成しうる教育・訓練の制度や手法を確立し徹底的に実施することである。それがひいては、一般人の安全にも寄与することにつながる。

今回は報道機関の職員が内部で得た情報を使って利益を得たという、重大ではあるが、人命に直結するような性質の事件ではない。しかし、世の中には不備のあるシステムを、それを使うにふさわしくない人間が扱っている事例は数限りなくあるに違いない。中にはわれわれの命に直接かかわるような職場に、そうした状況が存在しないとも限らない。一般市民としては、そうしたシステムを管理する側には、システムのセキュリティ強化と使用する人間の教育の徹底により、一刻も早く事態の改善に努めてもらいたいと切望する。

誰も、銃の扱い方を知らない人間がいじくっている、いつ暴発するかも知れない欠陥のある猟銃の前には立ちたくないはずだ。

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