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2008年3月12日 (水)

日銀総裁人事のごたごた

次期日銀総裁の人選を巡って与野党が対立している。

武藤敏郎なる人物が日銀総裁にふさわしいのかどうかは即断できないが、今回の民主党の主張には首肯できる部分が多い。

民主党は5年前の武藤氏副総裁人事において反対をした。いわく、「財務次官経験者では金融と財政の分離が担保できない」、「現在の格差社会を生んだ責任者の1人だ」という理由からである。

過去にも大蔵事務次官出身で日銀総裁になった人物はいるが、(戦後に限れば)いずれも一旦金融機関で経営に参画した経験を経た後、総裁に就任している。ところが今回の武藤氏は財務事務次官(彼が初代の「財務事務次官」である)から財務省顧問となり、その後日銀副総裁に選ばれた。どうもその辺りが民主党が反対する理由でもあるようだ。また、武藤氏の能力についても疑問視する声がある。確かに昨今の情勢を考えると、単に「能吏」というだけでは心許ない気がする。

民主党が武藤氏反対であることは自明のことだったのであり、それでも武藤氏で押してきた自民党に読みの甘さがあったことは否めない。その背景には、先のテロ特措法延長問題や道路特定財源・暫定税率を巡る対立が直接的に影響していることは間違いない。

また自民党が他の重要案件に比べ日銀総裁人事を軽視していた感もある。一言で言って「どうにかなる」と高をくくっていた。そうした姿勢は与党が衆参両院で多数派を占めていた頃であれば通用しただろうが、勢力が拮抗した今の国会においては無用な争点を作るだけで、百害あって一利なしである。

おそらく、与党側はこれまでに武藤氏と何度となく接触し、話し合いの場を設けてきただろう。それと同じように、野党と総裁候補者とが話し合える(料亭以外の)場を積極的に設定し、両者のコミュニケーション促進を図るべきであった。

このままで行くと中央銀行総裁が空席という事態も起きかねない。それが単なる「メンツ」の問題なのか、実質的に大きな影響を将来に及ぼすものなのかは分からない。が、政治家も官僚も、そしてわれわれ国民も、この国の政治が中央銀行総裁一人も話し合いで決められない程度のものであるということを、この際認識するべきだろう。

それと、ここまで問題が大きくなった以上、「たとえ総裁に就任しても、武藤氏もめったなことはできないだろう。だから総裁にしても問題は起こさないのではないか」という理屈もあるようだが、それは政治からの独立という点で問題がある。就任時のごたごたから、金融政策の運営に当たっての姿勢が萎縮してしまうおそれがある。そんな意味も含め、ここは新たな人材を候補とすべきだろう。問題はそんな人物がいるかどうかだが、この国にもまだ臥竜はいると思いたい。

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