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2008年4月11日 (金)

口パク・パバロッティ、だが・・・

Photo今日は書きたいことがいろいろあるが、諸々の事情によりこの話題だけピックアップ。

今朝(08年4月11日)の朝日新聞天声人語にちょっとショッキングな話が載っていた。2006年トリノ冬季五輪開会式でルチアーノ・パバロッティが歌った『誰も寝てはならぬ』(Nessun dorma)が「口パク」だったというのである。

このことをバラしたのは長年パバロッティの公演で指揮・ピアノを担当してきたレオーネ・マジエラという人物。先ごろ出版された著書『Pavalotti Visto da Vicino』(「間近で見たパバロッティ」といった意味か)で暴露したものである。

理由はパバロッティの健康状態であり、零度以下になることが確実だった気象状況なども考慮しての決定だったようだ。世界中で数億に上る人々が見守る中で、リスクは犯せなかったというのが真相らしい。パバロッティにしても、当時既に膵臓ガンの影響で歩行もままならず車椅子を使うような状態にはあったが、祖国イタリアで開かれる五輪という檜舞台である。この好機を見逃すことは歌手魂が許さなかっただろう。それが「口パク」(英語では「lip-synced performance」)という苦渋の決断となったに違いない。

私もあのパバロッティの歌はテレビで観た。口を大きく開き、喉を小さく震わせながら歌う姿と張りのある声に感嘆のため息が出たが、まさかあれが録音であったとは・・・今でも信じられない。

指揮者マジエラは「オーケストラは聴衆のために演奏するふりをし、私は指揮のふりをし、そしてルチアーノは歌うふりをした」と書き、「こうしてパバロッティの偉大なキャリアは仮想のパフォーマンスで終わることになったのであり、それは悲しいことではあるが、仕方がなかったことでもある」と述べている。

1990年サッカー・ワールドカップ・イタリア大会の開会式で会場に流れたパバロッティの『誰も寝てはならぬ』はテープ録音を再生したのものだったという。その16年後、聴衆の前に立ち歌う機会を得たパバロッティではあったが、既に実際に歌うことが許されぬほど健康状態は悪化していた。おそらくは病床にあって本人が最も悔しい思いを噛みしめていただろう。

どうせなら永久にだまされ続けていたかったという思いがする。

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コメント

会場に流れた歌声は録音だったが、実は本人もちゃんと歌っていたというのが真相 --- なんてヒネリがもう一回はいる、とか。

投稿: baldhatter | 2008年4月11日 (金) 21時11分

実際に声を出していたかも知れませんね。テレビのスタジオ録画などの口パクでは本当に歌うといいますから。ただ「フルボイス」ではなく、五分から七分くらいの声量のようです。
あの美声、一度生で聴きたかった。

投稿: Jack | 2008年4月12日 (土) 13時34分

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