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2008年5月13日 (火)

SFマガジン:アーサー・C・クラーク追悼号

Sf0806_2SFマガジン08年6月号が、今年3月に亡くなったアーサー・C・クラークの追悼特集を組んでいる。

ご存知クラークの“落とし子”翻訳家の浅倉久志氏をはじめ10数名の方がそれぞれに、このSFの巨人との出会いなど思い出を綴っている。その文の一つひとつを読んでゆくと、この科学者の眼と詩人の心を併せ持った作家が如何に多くの人たちに愛されていたのかをあらためて感じ取ることができる。

その追悼特集号に一人、少々趣の異なる文を寄せた人物があった。大森望氏である。彼の文は従来から連載していたコラムでクラークを取り上げたという形のもので、他のSF作家や翻訳家たちに比べ、少し距離を置いたような筆致で、それが却ってクラークの人物像を浮き彫りにしている。

内容は1999年6月にスリランカのクラーク邸で行なったインタビューの顛末。クラークが博覧強記、インタビューなどでも興に乗ると次から次へと話が広がってゆく人だとは聞いたことがあったが、「自慢癖」があるとは知らなかった。しかし人柄のゆえか嫌味のない稚気を感じさせるもののようで、「なにを聞いても必ず一自慢入るのがとにかく可笑しい」と大森氏も記している。

またインタビュー中、秘書に「ダライ・ラマからの手紙のコピーを持ってきたまえ」と指示して、そのコピーを持ってこさせたという件では、さすがに科学者(本人はエンジニアだといってるようだが)、資料の整理も行き届いているようで、これならいずれは個人全集も出るのではないかと希望が持てた。さらには、宗教やセックスなどさまざまな観点から、クラーク作品を掘り下げる鋭い論評が為されることも期待したい。

クラークが死去したことで、SF作品を主として書いた作家がノーベル文学賞を受ける可能性は50年ぐらい遠のいた感があるが、墓碑銘に次のような文を指定して逝った、ピーターパンのように老いることを知らない作家には、老人クラブの入会証のような賞は似合わなかったという気もする。

Here lies Arthur C. Clarke.
He never grew up and did not stop growing.

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