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2008年7月19日 (土)

将棋:棋聖戦羽生が勝ち四冠に

昨日(08年7月18日)、第79期棋聖戦第5局で挑戦者の羽生善治名人が佐藤康光棋聖を破り、3勝2敗の成績で棋聖を奪取した。羽生は8期ぶり、通算7期、3度目の棋聖位獲得である。

羽生は、名人、棋聖、王座、王将の四冠となった。一方、史上最多に並ぶ棋聖戦七連覇を目指した佐藤だったが、2連勝後の3連敗で偉業の達成はならなかった。

今回も終盤106手目△4三角で羽生の手が震えた。総手数114手のこの将棋の終局8手前である。産経新聞のネットには「最近、とくに目立つ終盤の指の震えについて、羽生は、勝ちを確信したときの緊張の表れ、と述べているが、本局でも終盤、駒をつまむ指の震えが控室をわかせた」という記述があった。確かに羽生の手の震えは勝ち将棋に現れる。

ということは、序盤や中盤の30、40手目あたりで突然羽生の手が震え出したら、対戦相手は相当に動揺するに違いない。中には、それを見て戦意喪失、早々と投了する棋士も出てくるのではないだろうか。

冗談はさておくとして、「勝ちを確信したときの緊張の表れ」というのはよくよく考えてみると少々奇妙である。震えの原因が緊張にあるのであれば、それまで震えていなかったのに突如震え出すのはその瞬間から緊張を感じたり、緊張の度合いが急激に高まったからに違いない。しかし「勝ちを確信した」のであれば緊張は緩むことはあっても、増すことはないはずだ。なのでこれは「勝ちを確信した」ときではなく、「勝ちを意識した」或いは「勝つ可能性が見えてきた」ときということではないだろうか。羽生がこういった場合の言葉を間違えるとも思えないので、私は勝手に、これは記者の引用間違いだと思っている。

ところで手の震え方だが、このところ徐々に大きくなってきているように思える。特に今期名人戦の第4局の終盤93手目▲6二角成では、あまりに震えが大きく、指先のコントロールができず、6三にあった後手の銀を弾きとばしてしまった。

以前にも書いたことがだが、心的ストレスが身体反応を引き起こすというのは決して良いことではない。疾患とまでは言えないが、何らかの障害(の兆し)がある可能性も否定できない。羽生もあと2年余りで40歳になる。今は終盤の、しかも勝ち将棋でしか現れない震えが、いつか常態化(たとえば盤に向うだけで震え出すなど)しないとも限らない。多忙を極める羽生だが時間を作り、一度専門家のカウンセリングを受けた方がよいと思う。

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コメント

初めまして

私は、道場では3段、将棋倶楽部24では2段ですが、
おそらく羽生名人の「勝ちを確信した」という言葉は間違いないでしょう。

常識的に考えれば、「勝ちを意識した」となるはずなのですが、
私もそうなのですが、ほぼ100%勝ちと分かって初めて緊張するん
ですよね、なぜかは分かりませんが。。

中盤で優勢になって、勝ちを意識しても、あまり緊張はしません。。
おそらく、将棋は、自分の読み筋通りになることはほとんどなく先が
分からない、というゲーム性に関係しており、指し手も、
強くなればなるほど、それを理解しているため、勝ちが見えてきた程度
では、少しも勝つという実感がわかないからではないでしょうか。
あくまで私自身の内省にすぎませんが。。。

でも、敵玉の詰み形が見えたときの緊張感は、むしろ爽快なものです。
やりとげたという感じでしょうか、それがあるので将棋はやめられません。

投稿: | 2009年2月 9日 (月) 08時29分

コメントありがとうございます。
ご意見をうかがい、私が考えたことを以下に記します。
「勝ちを確信したとき…」というのが羽生名人の言葉ではなく、記者の引用間違い(或いは思い違い)ではないかという私の疑念はそのまま変わりません。貴方も「ほぼ100%勝ちと分かって…」と書かれているように、「これで勝てるのではないか」と思った時にふるえがくるのは理解できます。私も経験があります。しかし「ほぼ100%勝ち」は「確信」ではありません。「確信」とは「100%勝ち」と判断することです。言葉遣いに慎重な羽生さんがこのような言い間違いをするとは私には考えられません。
また昨年の竜王戦で、伝えられるところでは羽生名人は2局で手が震えたようです。そのうちの第4局(最終盤に後手玉に打ち歩詰めの筋が生じた例の対局です)では手が震えた後に負けました。つまり、産経新聞の記述が正しいなら、羽生さんは「100%勝ちと判断した」将棋を負けたことになります。これはやはり言葉として変でしょう。
さらにこれも昨年のことですが、NHKのテレビ番組『100年インタビュー:羽生善治』の中で、手の震えに関連した質問に対して、最終盤を“ゴルフのパット”に喩えて、「詰みを発見することは、あと1メートル足らずで、プレッシャーがなければ100回やって100回入るようなパットに似ている」といった趣旨の発言をしていました。この「プレッシャーがなければ」の部分に注目してください。実戦においてノープレッシャーということはあり得ません。即ち、「100回やって100回入るようなパット」でも、実戦では「絶対に入れられる(詰ますことができる)」と断じることはできないのです。
おそらく、どういうときに手が震えるのかと尋ねられた場合、羽生さんなら「勝ち筋が見えてきた時」と答えるのではないでしょうか。
話は変わりますが、昨日のNHK杯の対佐々木慎五段戦でも終盤少し手が震えていたように見えたのですが、もしかしたら、「対戦数の少ない、若手の棋士」を相手にすると震えが出やすいという傾向があるのかもしれません。いずれにせよ、少しでも早く震えが出ないよう治療されることを願っています。

投稿: Jack | 2009年2月 9日 (月) 15時58分

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