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2008年7月21日 (月)

毎日WaiWai問題

昨日(08年7月20日)、毎日新聞が同社の英文サイトのコラム“WaiWai”に「不適切な記事」が掲載されていた問題で謝罪した(参照1 )。

事件の大まかな経緯は次の通り。

毎日デイリーニューズ(MDN、2001年3月紙媒体としての発行を停止した英字新聞)を引き継いだ毎日新聞ニュースサイトで、紙媒体時代からの人気コラムだった“WaiWai”を担当した記者(オーストラリア出身)が、同コラムに日本国内で発行されている風俗雑誌などの記事を英訳して掲載していた。その中には、元の雑誌記事になかった事柄が加筆され、事実無根の“でっちあげ”のような内容のものも多く含まれていた。

なお詳細についてはこちらの“まとめサイト”が分かりやすい。

この問題はまず第一に、オーストラリア人記者の資質(の欠如)を見抜けず採用し、しかもデタラメな記事の掲載が始まってからも、チェック体制が機能しなかった毎日新聞の体質が問題である。事実を伝えるという報道の根本にもかかわる事態であり、かつて朝日新聞が起こした「サンゴ落書き記事捏造事件」にも匹敵し、英語で書かれ、長い期間にわたりネットで配信されていたことから目にした人間の数がはるかに多く、また訂正の通知が行き届き難いということを考慮すると、その影響の範囲ははるかに広い。

謝罪のための社告(参照2参照3) などを読んだ限りでは、何故そうした行為を見逃すことになったのか、その理由がもう一つはっきりしない。また本紙毎日新聞のチェック体制は万全だとされているが、これだけのデタラメをこれだけの期間“垂れ流し”ていて気付かなかった組織の言とあっては俄かには信じられない思いもある。

昨日の謝罪は本紙3面にわたって掲載されたほか、ニュースサイト“毎日jp”には日本語と英語の両方が掲載された。日本の新聞社系サイトというのは、記事のリンクが直ぐに削除されてしまうので悪名高いが、毎日はこの社告に関しては日本語、英語共にリンクを固定し、誰もがいつでも読める状態にしておくべきである。その検証の意味も含め、ここに英文社告へのリンクを貼っておく。

ところで担当記者のオーストラリア人はなぜこんな馬鹿げた真似をしたのだろう。「性的な記事を書くと反応がよかった」と言っているらしいが、それではアクセス件数の多寡に一喜一憂しているブロガーと変わりがない。報道に携わる人間という点からすれば、その意識はまさに“Yellow paper”のライター並みである。

さらには、過去に失業の苦い経験があって、今の職を失いたくないため読者の反応がよい記事を書いていたとも言われるが、“受け”や“保身”を指針として報道記事を書くような人間は新聞記者になってはいけないのであり、繰り返しになるが、その資質の欠如を見抜けなかった毎日の不明は救い難いほど深い。

毎日新聞は内的にはそうした組織体質の改善に取り組むと同時に、自社がかぶった“Yellow paper”というネガティブなイメージの払拭だけでなく、日本から発信される英語による情報の信頼性低下という大きな問題にも取り組まなければならない。

また「性的な記事を書くと反応がよかった」背景には、“ゲイシャガール”や“ウタマロ”といった日本に対する悪しきイメージが海外には未だに根強く残っていて、オーストラリア人記者はそのことを察知して、オーディエンスに受けのよい方向へと記事(翻訳)の内容を捻じ曲げて行ってしまったのだろうか。もしそうであるなら、日本からの情報発信はその質と量の両面でもう一度見直さねばならない。

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