« 赤塚不二夫逝く | トップページ | 今日は1日中外にいた »

2008年8月 4日 (月)

『プロフェッショナル 仕事の流儀』余談

去る(08年)7月15日に放送されたNHKの番組『プロフェッショナル 仕事の流儀:最強の二人、宿命の対決』は通常45分の枠を1時間に拡大した特別番組で多くの人の注目を集めた。

その番組に関して、朝日新聞のコラム『サブCh.』(08年8月1日付朝刊)に面白い話が紹介されていた。

羽生名人と森内九段を別々にスタジオに招いて、司会の茂木健一郎と住吉美紀アナウンサーが行ったインタビューは各自3時間近くに及んだが、実際に放送に使用したのは二人合わせて15分に過ぎなかった。当然、放送に使われなかった部分にも興味深いやり取りがあり、その中で森内が、対局中に羽生の手が震え出すと敗北を悟ると語ったという。私も対局相手の立場から考えると、そういうことは十分あり得ると思い、そのことをブログに書いたことがある。

その森内の発言を聞かされた羽生は「では、これからはその方向で」と笑って応じたという。当然羽生が「その方向で」、わざと指先を震わせて、相手に威圧をかけるようなことは考えられないし、あり得ない。そんな番外戦術を本気で考えるようになったとしたら、それは羽生が明らかに衰えた時であろう。

勝ちを確信した時の癖は森内にもあって、「お茶を飲むこと」だと自身で認めている。羽生もそのことを見抜いていた。森内に「どんな手を使ってでも勝つ」という阿漕な考え方があれば、こちらの方は戦術として容易に用いることができる。だが羽生同様、森内もそんなことをするくらいなら将棋を辞めるだろうし、それが謂わば日本の将棋文化である。

と言うことは逆に考えれば、将棋が国際化したら、そうした潔さを含めた文化・伝統・習慣というものも通用しなくなることを意味するのだろう。もしそうだとしたら、国際化も考えものかもしれない。

|

« 赤塚不二夫逝く | トップページ | 今日は1日中外にいた »

将棋」カテゴリの記事

コメント

こんにちは、
最後の段落を読んで、ああそうだなあ、とうなずきました。国際化
は必ずしもいいことばかりではないですね。
自国の文化を自信を持って紹介しても、自然に身についた、言葉で説明しきれないものを伝えるのは骨が折れますし、伝えきれずに捨てられてしまう方が多いですよね。

投稿: pompon | 2008年8月 6日 (水) 08時12分

pomponさん、今晩は。

柔道の国際大会に青い柔道着を使用するかどうかが話し合われた際、日本は断固反対したにもかかわらず、多数決によって採用が決定しました。スポーツ(この場合は将棋を含める)の“国際化”というのは、同時に“本家の威光”が弱まることでもあるわけです。
その意味で“国際化”にあまり熱心でないメジャー・リーグ・ベースボールというのは“ローカル”であることで、その存在意義を守ろうとしているのかもしれません。
でも羽生の才能が、世界中でわずか数千万人にしか知られていないというのも口惜しい想いがします。
国際化の是非…難しい問題です。

投稿: Jack | 2008年8月 6日 (水) 22時19分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/220529/42062935

この記事へのトラックバック一覧です: 『プロフェッショナル 仕事の流儀』余談:

« 赤塚不二夫逝く | トップページ | 今日は1日中外にいた »