将棋:第56期王座戦第2局
昨日(08年9月17日)、第56期王座戦第2局が行われ、△羽生善治王座が122手で挑戦者▲木村一基八段を降した。これで羽生王座は2勝0敗で、王座17連覇まであと1勝となった。
相矢倉で始まったこの将棋、49手目▲6五歩から戦端が開かれ、59手目に後手は角を取られるも果敢な反撃を試みる。さらに10手後には飛車も犠牲に。先手の玉はほぼ裸になったが、大駒のない後手がはたして攻めきれるか。
図は終盤に入り、先手が▲8八歩と後手の唯一の攻め駒である銀を取りに行ったところ。
ここで、控室でも予想されていなかった△7六銀成という強手が飛び出す。▲同金なら、△4七銀成。本譜もそのように進み、双方敵陣に飛車を打ち込んでの攻防が続く。そして96手目、△7六同歩となった(図)。
ここで先手に勝敗を決するような絶妙手があった。それは▲3一角打! 敵の駒2枚が利いているところにただ捨ての角を打つという鬼手。控室にいた谷川浩司九段が発見した手である。
金でも銀でもこの角を取ると、後手玉は詰んでしまう。
(1) △3一同銀▲1二竜△同玉▲1三銀△同玉▲1四歩以下、▲1三角打の筋があって簡単に詰む。
(2) △3一同金の場合は、▲1二竜△同玉▲2四桂(!)△同歩▲1三金以下、今度は▲2三角打 が決め手になる。
また、取らずに△2四玉は▲1三角打の詰み。
よって、後手は2二に合い駒をしなければならないが、金か銀のどちらにするかが難しい。また△2二合いとしても、▲3六桂と脱出路を塞がれ、次の▲1四歩で詰んでしまう。
局後の検討では、
(3) △2二金打▲3六桂△2九飛成▲3九桂(△同龍と取れば1八の香を温存できる)△1八龍▲1四歩△同龍▲1六歩△同龍▲2七金△1八龍▲6八角△3五香▲1六香△1四歩▲2二角成△同金▲1七金打
という変化が有力視されていたらしいが、「(2二に)金を打つんではちょっと…」と、羽生は自信がなかったようだ。
96手目の図を見せられて、「ここで決め手がある」と言われれば、有段者なら▲3一角を発見するのは難しいことではないかも知れない。しかし実際の対局で、この手を見つけ出すのは至難である。
事実、両対局者は気づいておらず、先手木村の指し手は▲6八角打だった。局後に谷川から指摘され二人とも驚いたらしい。「聞かなきゃよかった」という、その際の木村のコメントを読んだとき、この敗戦を後々まで引き摺らなければよいがと思った。
次回第3局は9月30日、新潟県六日町で開催される。
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