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2008年10月18日 (土)

将棋:第21期竜王戦始まる

今日(08年10月18日)、フランス、パリで将棋第21期竜王戦七番勝負の第1局が始まった(中継サイトはこちら)。

振駒で先手になった渡辺明竜王の初手は▲7六歩。これに対する後手羽生善治名人は△3四歩。この段階で、戦型は後手一手損角換りになるなと思った。今プロの間で最も盛んに指されている戦法の一つである。羽生は答えの出ていないその戦法を、この大舞台で「渡辺さん、二人で解明しようじゃありませんか」と問いかけたのである。

無論渡辺にも異存はない。その後、局面は先手の棒銀に対し、後手は攻めの圧力を回避するために右玉へと展開、先手が主張を通した形になった。そこで先手は2六まで進めた銀を▲3七銀(29手目)と引き戻し、▲4六銀(31手目)と組み換える。さらに先手は43手目▲9八香とシェルターの蓋を開け、穴熊に囲う意図を明確にした。

    ***

今回の竜王戦は渡辺-羽生という待望の顔合せであることや、勝った方が初代永世竜王の資格を得るということなどから大きな話題になっている。

同時に私は、この対戦が実は渡辺にとっては今後の棋士生活にまで影響を持つ、きわめつけの大勝負になるのではないかという思いを抱いている。

小学4年生で“子ども名人戦”を制し、中学生でプロ四段となり、19歳でタイトル初挑戦、20歳で竜王位獲得 ― と順調にトッププロへの道を歩んできて、“羽生の後を継ぐ世代”の旗手と目されていたが、ここ数年はその勢いがやや鈍っている。竜王位は4期連続で獲得防衛しているものの他棋戦での成績が今一つ芳しくない。中でも順位戦は、“1期抜け”も期待された昨年度B級1組で出だし1勝5敗と、昇級どころか陥落の可能性さえあった。後半6連勝でどうにか残留したものの、今期も7回戦が終了した現時点で4勝3敗とようやく勝ち越している状態である。「底が見えた」といった辛らつな発言をする者もいる。

羽生とのタイトル戦は今回で2度目。2日制の七番勝負という棋士としての真の力を試される舞台設定であり、また渡辺にとっては唯一保持するタイトルである。そうした状況で、今回の竜王戦は棋士としての真価を問われる戦いとなる。

週間将棋のインタビューに渡辺は「羽生名人は避けて通れない道」だと応えたが、羽生は“越えなければならない壁”である。

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このブログをお読みの方ならお分かりのように、私は羽生善治という棋士が好きである。彼が奨励会に入って以来、ずっと注目をしてきた。だから、羽生が勝って「永世竜王」となることを希望していないわけではない。が、それと同じ位の度合いで渡辺明という棋士に注目している。ブログで自戦を解説したり、私生活を紹介したり、また将棋ソフトとの戦いに率先して応じたりと、「羽生の次の世代」をリードする者としての気概にあふれ、高い自覚を持っている。残念ながら、他の「羽生の次の世代」は実績の面でも気構えでも、まだ渡辺の域に達していない。

もしここで渡辺が敗れるようなことがあると、それも羽生の前に完膚なきまでに叩きのめされるようなことがあれば、「羽生の次の世代」の勢いは堰き止められることになり、羽生世代はさらに10年近く棋界に君臨することになりかねない。それではたして良いのだろうか。

棋士として羽生が好きであり、渡辺も同じくらいに気になる。が、もっと心配されるのが将棋というすぐれたゲームの今後であり、最高レベルの戦いを展開し、将棋の優秀さを証明し続けてきた“プロ棋士”の将来である。

その背後には年々実力を増しているコンピュータ将棋がある。それがプロ棋士を越える力を付けたとき、はたして今の日本将棋連盟による“プロ将棋のシステム”が存続できるものか ― いやプロ将棋そのものが成り立つのかどうか。それは誰にも分からない。ただ、仮にプロ将棋が成り立たなくなったときには、将棋というゲームそのものの存在価値まで揺らぐことになる可能性は否定できない。

「羽生の次の世代」が育たず、羽生世代が今後も棋界をリードし続け、しかもプロより強い将棋ソフトが生れたら…その先に待ち受けているのは将棋好きなら考えたくもない状況ということになりかねない。

因って今回の竜王戦、私は渡辺、羽生どちらも応援する。それはいずれが勝者となり、敗者となろうとも、“明日につながる戦い”を期待するがゆえである。

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