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2008年10月31日 (金)

将棋:第21期竜王戦第2局 羽生が連勝

将棋の第21期竜王戦第2局は131手で先手番の挑戦者羽生善治名人が勝ち、第1局に続いての2連勝となった。

相矢倉の難しい将棋だった。立会いの藤井猛九段らの解説では、途中先手の「大優勢」ということだったが、素人目には駒損とはいえ、後手も先手玉に肉薄し好勝負に思えた。

藤井九段の解説によると、122手目△8三桂打が疑問手だったようだ。

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「△8三桂▲同飛成に△7七銀▲9八玉△7八成香と詰めろを掛けるのですが、それでも▲4二角成△同金▲4三金△2二玉▲3一角△1二玉▲2四桂△同歩▲1三角成という手順で詰みが発生しています。△8三桂▲同飛成と桂を渡したので後手玉がほぼ必死になってしまっているんですね。ですので△8三桂が自爆に近い手になってしまっているんです。」とのこと。

その「△8三桂▲同飛成に△7七銀▲9八玉△7八成香」というのが下の参考図。

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確かに、手順は長いが▲4二角成以下で後手玉は比較的簡単に詰んでしまう。渡辺は参考図の局面に気づかず、△8三桂を指したのだろうか。中継ブログでは『鬼手』と呼ばれた△8三桂だったが、どうやら渡辺らしからぬ悪手だった可能性がある。

因って後手は△8三桂打に代えて別の手を指すべきだったということになるのだが、ではどんな手があったのか―これはとても我々が考えて答えが出るような問題ではない。今後の主催紙や専門誌紙の解説記事を待ちたい。

第1局は読みの踏み込みが足らずに、第2局は思いっきりのよい攻めと勝負手で迫ったが一歩及ばず連敗となった渡辺が先手番となる第3局でどんな将棋を見せるか―捲土重来を期待したい。一方の羽生だが、渡辺の攻めを瞬きもせず紙一重のところでかわす豪胆さを感じさせた一戦だった。

第3局は11月13、14日に、岩手県平泉町で開催される。

【追記:08年11月1日】
渡辺明ブログが更新され、竜王戦第2局についての感想が述べられている。問題の122手目△8三桂打については次のように記されている。「△8三桂は▲4二角成△同金の局面で自玉の詰みの有無と先手玉への詰めろの継続ばかり読んでいて▲同飛成は指した後に気が付いて、倒れそうになりました。」つまり、“見落とし”である。

ここで気になるのが“思考持久力”(とでも呼んだらいいのだろうか)である。私も頭脳を長時間使う職業に関わっているので多少とも分かるが、10時間、12時間と集中して考える作業を続けていると、普段なら考えられない単純なミスを犯すことがある。たとえば見間違い―“prototype”を“protocol”と思い込んでしまうなど、通常ではあり得ないミスが起きる。また、複雑な文章や長い文章を速やかに理解できなくなるという現象も生じる。

また時間だけでなく、“思考の量”も“思考持久力”に関係する。どういうことかというと、またもや翻訳の話で恐縮だが、翻訳者として生計を立てるには1日に2,000ワードの英文を日本語に翻訳できることが一応の目安(最低ライン)とされている。私自身は1日4,000ワード、月25日間稼動を目標としており、その量なら無理がない。これが1日6,000ワードとなると3日連続が限度で、7,000ワードなら2日連続、1万ワードとなると1日だけしか対応できない。ところが、世の中には1日1万ワードの翻訳を何日も連続でこなす翻訳者も存在する。私の場合、その1万ワード×数日に対応できる翻訳者に比べると、“思考持久力”は半分以下ということになる。

共に4,000ワードの翻訳が終った状態であるなら、“4,000ワード級の翻訳者”は既に限界に近づいているが、“1万ワード級の翻訳者”はまだまだ余力を残している。4,000ワードまではさして目立たなかった両者の相違が、4,000ワードを超える部分からは顕著になってくる。

今回、羽生の感想の詳細は分からないが、(△8三桂を)「▲8三飛成と取って寄らないのでよくなったと思いました」と述べているところから、羽生が少なくとも渡辺と互角かそれ以上の“思考持久力”を持っていると推測することができる。また過去の感想戦などでのコメントを読むと、大方の棋士よりも羽生の方が、長時間考え、戦ってきた後においてなお難解な終盤を読み切る“持久力”を備えていると考えることができる。

逆に渡辺の立場から考えれば、“自分は見損じ、相手はその見損じを確実にとがめてきた”のであるから、自分の方が“思考持久力”に劣ると推測するのが妥当であり、また堅実な姿勢である。では、そう仮定した場合、渡辺のとるべき方策は何か。

体の持久力と同じで、“思考持久力”も一朝一夕に伸ばせるものではない。また私自身が実感していることだが、年齢と共に下降する。そこで私が採用しているのが“気分転換=リフレッシュ”である。たとえば、PCから離れまったく違う種類のこと(運動など)を実行する。

ネット中継などではよく、羽生が席を離れると書かれているが、あれは羽生一流のリフレッシュ法だろう。そこで渡辺竜王もこまめに席を立ち、リフレッシュを図ることである。

ここで一つ、私がやる効果絶大な(1日1万ワードなど、限界ぎりぎりの仕事で有効な)リフレッシュ法を紹介する。それは熱いシャワーを短時間浴び、最後は冷たい(またはぬるい)シャワーで仕上げるというもの。うっかり湯船につかったりすると、疲れが出て眠くなったりもするが、短時間の熱いシャワーはそういう心配がない。

タイトル戦であれば、自室に戻ってシャワーを浴びるのも自由だろう。その間、手番であれば消費時間に算入されるが、なにせいぜいが20分ほどのことである。2日目の夜、十分な残り時間がある場合なら問題になるような時間ではない。竜王(そして皆さんも)ぜひお試しあれ。

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» 竜王戦、羽生名人が連勝、ほか。 [メタボとさよならをめざすブログ]
【竜王戦七番勝負第2局】 既報の通り、第2局が行われました。      ▲羽生善治名人(棋聖・王座・王将) vs △渡辺明竜王      31日午後6時52分、131手にて羽生名人が勝ち、対戦成績を2勝0敗としました。 棋譜はこちらでご確認ください。 また中継ブログ「竜王戦中継plus」はこちらです。 後手の攻めが繋がるかが焦点だったと思いますが、 「もう少し、駒得しながら攻める手はないのか」と正直思いました…って、やっぱダメっすかねぇ。{/face_ase2/} (1)後手番なので、無理... [続きを読む]

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