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2008年10月 6日 (月)

「深谷の通信隊」

昨日(08年10月5日)のエントリーで取り上げた「米国海軍の通信施設」とは「深谷通信所」のことである。

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■深谷通信所
神奈川県には合計15の米軍施設があり、数では沖縄、北海道に次いで3番目。合計面積は21km2で10番目に当たる(1番は北海道344km2、2番目は沖縄237km2)。

「深谷通信所」は「上瀬谷通信施設」と共に、極東地域における米国海軍の通信網を支えてきた通信基地である(「深谷」が送信、「上瀬谷」が受信を受け持っていたと言われる)。敷地はおおよそ直径1km弱の円形をしており、中央に高さ100メートルはあろうかという鉄塔が立ち、その周りに建物が数棟建ち並んでいる。さらにその全体を金網フェンスが囲っており、それが施設の中心部を形成している。

立入が制限されているのは金網フェンスで囲われたその中心施設だけで、残りの部分は出入り自由。少年野球チーム専用や貸し出し用の野球グラウンドが9面あり、その他にゲートボール場や市民菜園が多数ある。周辺の住民には「深谷の通信隊」あるいは単に「通信隊」と呼ばれている。

■犬の散歩コース
ここは犬の散歩に恰好の場所で、朝6時前後に行くと大小様々な犬に出会うことができる。“ブービエデフランダース”などという、日本国内での登録数がわずか数頭という珍しい犬に出会ったこともある。また、週に1、2回、警察犬の育成・訓練を請け負っている業者が、警察犬のタマゴたち(ジャーマンシェパード)を連れてきて訓練をする姿を見ることもできる。

私もわが家の犬が若い頃は毎日のように散歩に連れて行っていた。犬が年を取るに連れ、ゆく回数は減っていたが、それでも週に1回程度は通っていた。それが昨年10月、突発性前庭障害という病気を患ってからは歩行が困難になり、長い距離の散歩を断念した。ラブラドールリトリバーという中型犬で、現在15才10ヶ月だが、この犬種では「90才以上に相当する長生き」(かかりつけの獣医師の話)だとのこと。

■突発性前庭障害
ついでと言っては語弊があるかもしれないが、犬を飼っている方に一言。この「突発性前庭障害」という病気は本当に突然発症する。わが家の場合は、まったく立てなくなってしまい、どんな時でも失うことのなかった食欲がなくなり獣医師に連れて行ったのだが、ちょうど土日をはさんだこともあり、結果的に対応が遅れてしまった。

もしお宅の犬が突然立てなくなったり、歩き方がふらふらして、眼球が左右に揺れ動いていたら、できるだけ早く獣医に診せることをお奨めする。

■通信施設の撤去
昨日、「通信隊」に行ったのはコスモスを見るためだった。市民菜園をやっている人の中には、畑の周囲に様々な花を植えている人がいる。コスモスはその中でも人気が高い花で、あちこちにかなり広く植えられていて、秋になると紅、薄紅、白などとりどりの花が咲き、ちょっとした見ものだった。

「だった」と言うのは、昨日訪ねたものの、コスモスが咲いている箇所はごくわずかで、通信隊全体の印象も「荒れた」感じがあった。

野球場では少年チームが練習をしている。菜園では相変わらず、各種の野菜が作られている。しかし、敷地内の目印の一つだった杉の木が立ち枯れていたり、いつもならきれいに刈り取られている雑草が膝上まで伸びていたりと、手入れがあまり為されていない様子だった。

中でも敷地内に10ヶ所以上あった「アンテナ」が撤去されていたのには驚いた。上の写真で、中心が黒く、周りが薄緑の円のように見えるのが「アンテナ」である。ただ、「アンテナ」とは言っても、中央に高さ10mほどの柱があって、その周囲にそれよりは低い柱が6本、等間隔で立てられ、それをワイヤでつないだものだった。

「アンテナ」がなくて通信施設としての機能を果たせるのかと疑問に思い、調べてみたところ、現在は「通信衛星」が主役となり、どうやらこうした地上の通信設備は時代遅れになりつつあるらしい。

■受信料無料の地域
わが家から歩いて1分も行かないところに、「深谷通信所」による電波障害対策として各家庭にCATVが配信されていて、しかもその受信料・加入料がただの地域がある。たまたま知り合いがその地域に住んでいて教えてもらったのだが、「そのお金は誰が払っているの?」と訪ねたところ、その人は「米軍でしょ」と答えたが、正解は日本国政府である(後述)。

■昔は「日本の中のアメリカ」
以前は施設内に居住する米軍人もいて、夏になるとプールで遊ぶ子どもの姿も見られたが、既に数年前から彼らの姿はなく、今は日本人の守衛が朝から夕方まで詰所にいるだけらしい。

金網の中にある建物はみな低層だが、地下には驚くほど多種多様で広大な施設があり、昔は年に数回、近くの町内会の代表や世話役などが「懇親会」と称して、豪華なパーティに招かれていたこともあったようだ。

夏のお盆の時期には、「Bon Festival」の看板を掲げ、近隣住民のために屋台を出し、なかなかお目にかかることのできない“ナチョス”や本格的なアメリカンハンバーガーが売られ、バドワイザー1缶がわずか100円という破格値で飲めたお祭りも、今では周辺の町内会が催す普通の盆踊りになっている。

調べたところ、2004年には「上瀬谷通信施設」と共に日本への返還が合意されていた。ただし、返還の時期については明確な合意はなく、一説には逗子にある「池子住宅地区」の問題が全面解決するまで返還はないだろうという話もある。

■返還後
「深谷通信所」はすべて国有地であるため、返還後は神奈川県か横浜市に所有権が移管されるらしい。予定では公園として整備されるそうだ。ただ、犬仲間には公園になると今のように自由に犬を散歩させることができなくなると心配する声もある。

■こうした日本国内の米軍施設は、前述のテレビ難視聴対策なども含めいわゆる「思いやり予算」によって維持・運営されているわけだが、その総額は2007年度で約2,1730億円で前年度より150億円あまり減った。その減額の一部が、「通信隊」の伸び放題の雑草に現れているのだろうか。

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コメント

旧日本軍の通信施設ということで、福井晴敏『終戦のローレライ』の終盤を思い出しましたが、あれに出てくるのは「大和田通信所」でした。

大和田通信所というのは埼玉にあり、「深谷」という地名も私は埼玉の深谷(ネギで有名)を連想します。

投稿: baldhatter | 2008年10月 6日 (月) 20時42分

>「深谷」という地名も私は埼玉の深谷(ネギで有名)を連想します。

確かに、「深谷」と言えばあちらの「深谷」の方がはるかに有名ですね。ところで、この「深谷の通信隊」の近くに、日本で2番目に有名な「原宿」という所があります。ラジオなどで流される関東地方の道路交通情報で、渋滞箇所として毎回のように取り上げられる「国道1号線、戸塚の原宿」です。
その渋滞の名所「戸塚の原宿」にも変化が生じつつあり、数年後には立体交差になって、10年もしたら「2番目に有名」の座も失っているでしょう。
因みに地元の人が「原宿」というとその「原宿」で、あの「原宿」は「東京の原宿」と呼ばれています(う~ん、みごとにローカル)。

投稿: Jack | 2008年10月 7日 (火) 17時48分

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