将棋:第21期竜王戦第4局 渡辺が初白星【追記あり】
挑戦者羽生善治名人の3連勝で迎えた第21期竜王戦第4局が昨日と今日(08年11月24、25日)行われ、渡辺明竜王が勝って対戦成績を1勝3敗とした。
羽生挑戦者が4連勝で竜王位を奪還し、併せて永世竜王位の称号を得るか。渡辺明竜王が一矢を報いるか。注目の一番は2日目、後手渡辺の封じ手△7六歩で戦いが開始された。
局面はその後、▲7六同銀右△5五銀左▲7六歩打と進む(下図)。
2筋や8筋が急所となりそうな薄い玉形の後手は攻めを開始したら緩めることができない。ここからの数手には相当神経を使うことになるだろう【10時05分記す】。
上図から後手が長考の末、△9五歩と攻めを続行したのに対し、先手が▲7四角打(図)と反撃の手を指した。
この手に控室では驚きの声が上がったらしい。渡辺は意表を突かれたか、表情を変えたという。予想されている指し手は△4五桂と△8三金だが、どちらもあまり芳しくないようだ。渡辺は再び長考すると予想されている。素人目の第一感は△8三角打だが、金がうわずる形になるので筋悪だろうか【12時40分記す】。
午後7時21分(控室の推定)、136手で後手渡辺竜王が勝ち、初白星を上げた。
夕方のNHK BSの放送終了時点では、解説の深浦康市王位、山崎隆之七段共に、羽生優勢の見解だったが、その後40手余りにわたり白熱した攻防戦を展開。手の是非は判断できないが、一手一手から勝利に対する両者の闘志と執念が伝わってくるようだった。
この第4局は今シリーズ初の渡辺の勝局となっただけでなく、両者初めての1分将棋となり、また終盤羽生の手がはっきりと震えた一局でもあった。羽生の手が震えるのは勝ち筋が見えたときだと言われており、手が震えながら勝ち切ることができなかったというのも珍しいことだろう。
また、普段は勝敗にかかわる発言をしない竜王夫人が間接的に応援していたことも特に記しておきたい。この1勝を最も喜んでいるお一人だろう。それとももうご就寝だろうか。
この1勝が今後の戦いにどう影響するか―第5局(12月4、5日)が俄然楽しみになってきた。
【追記08.11.28】棋譜をじっくりたどってみたが、どうも100手目の△5七桂成が大きな意味を持っていたような気がする。これでほぼ詰めろ逃れの詰めろになっているようで(ネット中継のコメントから)、渡辺竜王がこの局面を想定して手を進めてきていたとしたら、終盤の難解な局面で見事な読みだったと言える。
私としては、本局No.1の一手だと思う。
【追記2:08.11.29】ゴトゲンさんのブログに、本局の終盤に関する羽生名人(片上五段も同見解)、宮田五段、山崎七段の見解が記されている。中でも宮田五段は10近い指し手を取り上げ独自の解釈でその是非を述べていて面白い。これだけいろいろな意見が出てくるというのは、それだけ難解な将棋だったということなのだろう。
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