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2009年2月23日 (月)

豪気な会計処理

今日の新聞で、自民党の井脇ノブ子衆議院議員が理事長を務める学校法人と社団法人の間で3億4,000万円もの不正な会計処理が見つかったと報じられた。

学校法人が運営する学校の生徒を対象とした研修に使おうと「数千万円が相場と言われ」るクラスの船を「直感」で決めた2億8,000万円という入札価格で購入し、5億5,000万円をかけて改修したものの、その船が国際航海の基準を満たしていなかったため目的の海外研修には使用できなかったというお粗末な顛末。

しかも燃料代や係留費用がかさみ、さらに3億6,000万円を注ぎ込んだが、改修からわずか3年で運航を断念。それから7年後、6,000万円で売却する破目に陥ったという。その過程で、学校法人から財団法人に貸し付けた3億4,000万円が焦げ付き、学校法人は損失処理したものの、財団法人では帳簿に記載さえしていなかった。

いや実に豪気である。合計12億円近くの資金を注ぎ込んだプロジェクトで、購入する物件の相場も調べなかったのか、「船種」の確認もしていなかったのか、ランニングコストを計算していなかったのか…と次々に疑問がわいてくるが、当の理事長は気にならなかったらしい。こういう豪気な人間を国会議員に選ぶのだから、日本も当分は安泰だろう。

旅客船にはその目的別に「船種」という基準が決められている。そのうち、国と国の間を行き来する「国際航海」には、「第一種船」という規定が適用される。さらに船が航行する水域は、「平水区域」(湖、川、港内などの水域)、「沿海区域」(日本の本土からおおむね20海里以内の水域)、「近海区域」(東経175度、南緯11度、東経94度、北緯63度の内側の水域)、「遠洋区域」(上記すべての水域)に分けられ、国際航海は必然的に「遠洋区域」を航行することになるため、第一種船は「遠洋区域」を航行するために必要な構造でなければならず、また救命艇など細かく規定された安全装備を備えていなければならない。

Photo_5 Photo_2【「沿海区域」航行用旅客船(左)と「近海区域」航行用旅客船(右)。外見上の大きな違いは海面から舷門までの距離で、「沿海区域」航行用旅客船の方が近い。この2隻は既に廃船になっているが、ほぼ同じ排水量で船形も似ていて比較対象として分かりやすいことから選んだ。】

問題の船は旧青函連絡船(2代目「檜山丸」)だったということからすると、航行区域としては「沿海区域」に該当する。また車載客船であったことから、艤装や船室などの構造は通常の旅客船とはかなり違っていただろう。それでけでも改修工事は大がかりになっただろうが、もう一つ、船には「復原性」という基準がある。いわば“転覆しにくさ”とでも言ったらいいだろう。当然、波の荒い遠洋区域を航行する船は高い復原性が求められる。復原性を決定する計算式に使われる係数は、遠洋の方が沿海の2倍近く大きい。5億円あまりを使って改修したものの、ひょっとするとそうした構造的基準をクリアできなかったということなのかもしれない。

改修工事を行ったのは「和歌山県由良町の造船所」ということだが、該当する地域には大手を含め複数の造船所があり、どことは特定できないが、その造船所は改修後の船の用途を承知していなかったのだろうか。知っていたとしたら、「この改修では、その用途には使えませんよ」とアドバイスしただろうし、また船舶登録の手続きはどうしたのだろう。

ざっと新聞記事を読んだ素人でもこれだけの疑問、懸念が浮かんでくるのに、10億円以上の金を注ぎ込んだご当人は何も疑問に感じなかったのだろうか。

借り入れるたびに国には言ってきたから「適切な簿外処理」だと強引な主張をしているようだが、国会でヤジをとばすだけでなく、「何の罪もない子どもたちがトラブルに巻き込まれないよう」(本人の国会での発言)、学校の運営にもしっかりと取り組むべきだろう。

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コメント

まだまだお金の観念がない人っているのですね。億単位ってすごい。私は宝くじを握りしめて、「当たれ!」って。。。

> こういう豪気な人間を国会議員に選ぶ

比例制の場合、この人を選ぶっていう意識は薄いように思います。小泉チルドレンって、(意識が)「チルド」している(凍っている)連ってこともありですか?小泉さんもとんだ子どもを抱えたようで。

投稿: pompon | 2009年2月24日 (火) 21時31分

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