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2009年3月26日 (木)

将棋:第58期王将戦七番勝負第7局 羽生が勝ち防衛

羽生善治王将・名人と挑戦者深浦康市王位の間で戦われていた第58期将棋王将戦七番勝負は今日(09年3月26日)第7局の2日目が行われ、羽生王将が110手で深浦王位を降し、通算成績4勝3敗で王将位を防衛した。

羽生はこれで王将位5連覇となり、通算でも12期獲得。また総タイトル獲得数も72となった。

第7局ということで改めて振りゴマをした結果、と金が5枚出て挑戦者深浦の先手となった。

▲7六歩△3四歩▲2六歩△3二金▲2五歩△8四歩▲7八金…の出だしは「一手損角換り」を思わせたが、この後羽生が変化する。△8五歩(下図)。横歩取りへと誘導する一手だ。

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深浦も迷わず▲2四歩(9手目)と突っかけて行く。この横歩取りというのは定跡手順だけ見ると単純で一本調子の戦いに見えるのだが、目に見えぬ伏線が数多くあって、一手でも間違えると即敗勢となるような厳しい手順も少なくない。素人の低段者や級位クラスの将棋だと波乱万丈の序盤となることもしばしばある。

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20手目、8筋の歩を交換した羽生は△8五飛(上図)。「中座飛車」とも呼ばれる「8五飛戦法」である。この第7局の副立会人はその名前の由来となった中座真七段。「中座君の顔を見て戦型を決めたんでしょう」という立会人中村修九段のコメントがネット中継で紹介されていた。

先手は中居い玉、後手は中原囲いへと進む。途中、40手目の△2六歩(下図)は新手のようで、局後のインタビューで羽生もそのことを認めている。

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またぞろ「我々クラスの話」で恐縮だが、こういう単騎で突き進んでくる歩というのは腹立たしいもので、即座に取ってしまいたくなるものだが、上図で▲2六同飛とすると、△7七角成とされ、これに「(1)▲7七同桂は△7六歩、(2)▲7七同金は△6五桂から△4四角を狙われ」(ネット中継コメントから)先手が不利になるというのだから恐れ入る。さらには、先手の飛車が2九ではなく2八にいたら、▲2七歩△同歩▲同金と反撃する手順が成立するというのもアマには見え難い変化である。

この後7筋、8筋で駒がぶつかり、両者一歩も譲らぬ攻防が展開される。プロの将棋はどれも難解なのだが、特にこういう玉の囲いが薄い上に、大駒を取り合う展開というのは見ている分には華々しくて面白いが、真似のできる将棋ではなく、また真似をしない方が身のためでもある。

63手目に深浦が▲8一飛打(下図)とし、両者共交換した大駒を前線に投入し攻撃態勢を整える。

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この局面では先手がわずかに駒得しているだけで、玉の固さは後手の方が優っている。また飛車の働きは互角にしても、先手の角は後手の馬に比べるとやや働きが劣る。なので、私には後手の方が良さそうに見えるのだが、ネット中継ではなかなか「後手よし」の声が出てこない。

却って71手目▲6三角打とされたときは正直、「こりゃ危ないか」と思ったが、検討陣の誰も予想しなかった△5二金打(下図)の受けが効果的だったようだ。

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金を手離すと攻め味がなくなるので予想されなかった手だが、私にはこの手の後は後手の方が着実に差を広げて行ったように見えた。そして102手目△5六桂打という攻防の一手が出る。

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実はこの1手前、先手が5四にいた馬を6五に引いた時にはちょっとどきりとした。竜取りの先手であり、竜は八段目から動かせない。そこで△5六銀打~△4七銀打と連打して先手で馬を取る手を考えたのだが、銀2枚を渡して後手玉が安泰かどうかが分からない(おそらく後手の負けになっていただろう)。そんなことを考えている内に△5六桂が打たれたのである。

いやさすがに羽生くんは強い。少し手を震わせながら打ったこの手以降、見事に先手玉を寄せ切った。

これで3回連続フルセットとなった七番勝負で、ようやく羽生は深浦を退けたことになる。通算の対戦成績も28勝26敗と2つ勝ち越しとなった。ここで負けていたら、本人が認める認めないにかかわりなく、深浦の「羽生キラー」という称号は不動のものとなっていたはずで、この1勝は大きな価値がある。

一方、敗れた深浦にしてみると、王位と王将という2タイトルをひっさげてB級1組に下がり、順位戦のねじれ現象をさらに拡大し、存在感を示したかったところだろう。だがこうなった以上、まずは王位のタイトルを守り、再びA級に戻るよう奮起を期待したい。

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