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2009年3月22日 (日)

旧吉田茂邸全焼

Photo_2今日(09年3月22日)早朝、神奈川県大磯町にある「旧吉田茂邸」が全焼した。

[焼失する前の旧吉田茂邸]

つい先日、横浜市戸塚区で重要文化財に指定されていた建物が不審火で焼失したばかりで、またもや文化的、歴史的に価値のある建築物が失われた。

旧吉田茂邸は神奈川県が買い取り、公園としての整備が進められている最中だった。

かつて「金閣寺放火事件」では、三島由紀夫や水上勉がそれを基に小説を書き、いずれの作品でも犯人の鬱屈した思いが、美しくて脆弱な木造建築物を毀損するという破壊的行為に転化する様が描かれていたが、未だに発生するこうした文化的、歴史的建築物への放火、破壊行為の背景にある動機には、金閣寺に火をつけた男の鬱々とした思いと共通するものを感じる。

一般に放火というのはいわゆる「愉快犯」に属すものと考えられており、中には自らが着けた火が大きく燃え広がる様子を見て性的興奮を覚える者もいるという。そうした内在的動機を持つ者の手から、ことに火災に弱い日本の伝統的建築物を守るには、工事中、修復中の段階から、防火・警備体制を厳重にする必要があるだろう。

また、放火に対する罪という点から考えると、現住建造物への放火には殺人と同程度の重さの刑罰が科せられるが、非現住建造物の場合ははるかに軽く、法定刑は懲役2年以上であり、文化財保護法が適用される場合でも懲役5年以下である。失われる価値を考えた場合、この規定はもう少し重くしてもよいのではないだろうか。

Photo_3

[全焼した旧吉田茂邸]

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コメント

1951年9月8日、サンフランシスコ講和条約が締結され、翌52年4月28日に発効した際、当時の首相だった吉田茂は直ちに自主憲法制定に取り掛かるべきだったにもかかわらず、これを放置した。一国家として自立することより、腹を満たす方を選択した。貧しかった国民を救うことも大切だが、「百年の計」を成してこそ偉大な政治家と言える。吉田は確かに外交官としては優れた人物だったかもしれないが、目先のことにとらわれ、自主憲法の制定を怠ったことで偉人の仲間入りは果たせなかった。その後長く、国益を失わせる原因をつくったのだから、むしろ「戦後犯罪人」と呼ぶべきかもしれない。
 吉田は当初、屈辱的なGHQ憲法に対し、改憲の意思を表明していたが、いつからか、改憲は慎重に行うべきと考えるようになった。一説には政敵の岸信介が改憲の急先鋒だったことから、対立軸となる慎重論を持ち出すようになったと言われる。GHQの脅しに歯がみをした実業家の白洲次郎も、いつしか吉田と同様に性急に改憲することはないという考え方をするようになっていた。戦後日本の目覚ましい経済成長は、政治家や官僚の判断を誤らせた。つまりカネに目がくらんで、日本の最高法規に日本人の意思(魂)を込めることをしなかった。吉田は有能な官僚ではあったが、政治家としてはしごく凡庸だった。そんな吉田が暮らした家は、文化財でもないただの民家なのだから漏電か何かで焼失したところで、騒ぐ必要などこれっぽっちもない。それともブログ主は火災の原因が放火だと決め付ける確たる証拠でもお持ちなのだろうか。

投稿: やす | 2009年4月 3日 (金) 10時02分

やすさん

>ブログ主は火災の原因が放火だと決め付ける確たる証拠でもお持ちなのだろうか。

火災発生後の神奈川県警および消防の原因究明作業の推移を、追記の形でもここにフォローしておかなかったこと、また最初の段階で不審火→放火と断定したことは軽率であったと反省しています。これまでの調べでは漏電が原因だった可能性が高いようです(まだ結論は出ていないようですが)。

しかし、

>ただの民家なのだから漏電か何かで焼失したところで、騒ぐ必要などこれっぽっちもない。

という点に関しては賛同しかねます。第2次大戦後の日本の政治史における吉田茂の(政策や政治信条の是非は別にして)重みは否定しようがありません。その住居が手付かずで残っていた、だからそこを整備して公園とし、一般に公開することは文化的にはいざ知らず、歴史的、社会教育的には意味があることだったと思っています。

ただ肝心の建物が焼失した今、自民党の一部議員が主張しているように、建物を再建し、アメリカのキャンプ・デービッドのようにしようという案には反対です。あそこは建物が焼失したままの「旧吉田茂邸跡」として公開するのがよいでしょう。

投稿: Jack | 2009年4月 3日 (金) 12時14分

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