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2009年3月20日 (金)

去りゆく「あぶさん」、帰ってきた「アブサン」

baldhatterさんのエントリーで知ったのだが、漫画『あぶさん』(水島新司作)の主人公「あぶさん」が引退を表明したという。

各紙も一斉に報道したが、以下の記事が最も詳しかった。

ビッグコミックオリジナル(小学館)で連載中の人気野球漫画「あぶさん」の主人公で62歳のソフトバンク・景浦安武(やすたけ)外野手が、プロ37年目となる今季を最後に引退することを19日発売(4月5日号)の同誌面上で明かした。

「あぶさん」の愛称で知られる景浦は73年にドラフト外で南海(当時)に入団。物干し竿と呼ばれる長いバットを使う酒豪の強打者として代打で活躍し、勝負強い打撃で人気を博した。南海がダイエーに身売りし、福岡に移転した後は主に先発で出場し、91-93年には3年連続3冠王を達成するなどホークス一筋で数々のタイトルを手にした。架空の選手ながら球団にも認知され、景浦の背番号「90」は使用を見合わせる配慮が続いている。
(デイリースポーツ)

正直に言ってしまうと「え、まだ連載してたんだ」というのが偽らざる心境。1973年の連載開始というから、おそらく連載当初は毎回読んでいたと思う。

記憶では、少々影のある、無口な男で、いつも血中にアルコールがなければいられず、バッターボックスに立つときは、酒を口に含んで、グリップのところに吹きかける…そんな設定ではなかっただろうか。熱心な読者でないので批評めいたことは差し控えるが、今思えば、ベンチ内に酒類を置いてあっても問題にならないというか、マンガとはいえそういう設定を許す雰囲気が当時はあったのだろう。

記憶では、あぶさんの結婚話が持ち上がった頃、次第に饒舌になり始めた頃が、読んだ最後かもしれない。いずれにせよ37年間という長期連載は素晴らしい、お疲れ様でしたと思ったが、実は上の記事には続きがある。

漫画「あぶさん」は30年を超える長期連載となっており、景浦は今季、2軍で開幕スタート。漫画の中で今季限りでの引退を宣言したが、理由や引退後の予定などは話していない。同誌編集部は「あぶさん引退後も、連載は続く予定」としている。

(デイリースポーツ)

「あぶさん」というタイトルは主人公の名である「景浦安武(かげうら・やすたけ」の「安武」を音読みしたニックネームに由来しているが、もう一つ、一時期幻の酒と言われた「アブサン」にも掛けているのは当然である。

「アブサン」というのはリキュールの一種なのだが、アルコール度数が高く(40~90度)、値段も手頃だったため、酒好きが「下地こしらえ」によく飲んでいた。なにしろ、シングル1杯がビールより安く、ロックにすると氷が溶けてゆくに連れて味も変化して行き、自分の好みの味になったところで一気に飲み干すとビール数本分の酔い心地を得られる。「これほど経済的な酒はない」と、学生で金がなく、それでいて酒が何より好きという友人などは絶賛していた。

それが、アブサンに含まれる成分に向精神作用があるとして、一時期店頭から姿を消し、「幻の酒」と言われるようになり、あの独特の臭いをかぐこともなくなってしまっていた。

それが今度の「あぶさん引退」騒ぎで思い出し調べたところ、現在ではアブサンも普通に売られているようだ。ただし、その販売価格がすごい。1本3,000円以上のものすらある。これなら、あの頃、まったく別の意味で(高価だったという意味であり、アブサンのシングル1杯が200~300円の頃、ジョニ黒は1杯2,000円以上した)「幻の酒」だった「ジョニー・ウォーカー黒ラベル」(現在は1本2,500円前後)の方が安い。

ところで何の話だったか…、そう漫画『あぶさん』だ。

上述したように熱心な読者ではないし、こうした長期連載では「Character development」が生じるのは不可避であるのは承知しているが、私が理解していた「あぶさん」の性格からすると、今度の「引退予告」というのはあり得ないことだった。誰にも何も言わず静かにバットを置くというのが私の「あぶさん」像である。ただ、長いストーリーの中には、今度の引退宣言を自然なことと読者に思わせる様々な出来事があったのだろうと推測する次第である。

【09.4.2:タイトルを変更しました。】

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コメント

さすがに連載開始の頃は読んでいませんが、70年代後半~80年代の頃でもまだ「寡黙な職人」の面影はあったように思います。いつの間にか人当たりのよい、饒舌なキャラクターになってしまったのは、結婚もし、子供もできて(しかも社会人にまで成長した)社会性を獲得したから、ということにしておきましょう。

逆に、デューク東郷なんか昔は喋りっぱなしだったのが、いつの間にかほとんど失語症のようになってしまいました。

アブサン、も私は未体験です。

投稿: baldhatter | 2009年3月20日 (金) 16時05分

>デューク東郷なんか昔は喋りっぱなしだったのが

そうでしたね、けっこう「自分を理解してもらうための説明」みたいな
セリフが多かったように思います。
それと東郷さん、実は「ブリーフ派」だったって知ってます? 今は
どうか知りませんが、初期はそうでした。さらに、体中の傷跡、
あれも最初期にはありませんでした。いつあんなにたくさんの怪我を
したんでしょうね(^^)

投稿: Jack | 2009年3月20日 (金) 20時56分

> 実は「ブリーフ派」だった

はい、たしかにそうでした。その後トランクス派になってたらなかなか笑えます。

投稿: baldhatter | 2009年3月20日 (金) 22時01分

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