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2009年4月10日 (金)

将棋:第67期名人戦七番勝負第1局2日目

羽生善治名人の封じ手は△5三角だった。

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さすがにこの辺りでは大方の予想を覆す手というものはそうそうはないということなのだろう。ネット中継の「名人戦棋譜速報」の「封じ手予想クイズ」でもこの手が投票数1位だった。

その「封じ手予想クイズ」の解答の中に、「△3五角」、「△1三角」、「△6三角」、「△7四角」というのがそれぞれ1票ずつあった。が、これはいずれも反則である。もしこのいずれかの手を対局者が選んだのであれば、指した瞬間、或いは封じ手であれば封筒を開けた途端に負けということになる。

そうした事態を考えると、現実の封じ手では記号を使わず図面で行うというのが合理的な方法であることが分かる。プロではあるが勘違いから「6四角」のつもりが「7四角」と書いてしまう場合がないとは限らない。せっかくの将棋が、そんなつまらぬミスで終ってしまっては対局者本人は当然のこと、ファンも関係者もがっかりである。

その後指し手が進み、44手目△9三香に郷田は▲6五歩とした。素人目には後手陣の玉のこびんが開いているのが気になるところだが、いよいよ開戦近しの感がある。

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上図から30手が進み夕食休憩前の局面(下図)。

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ここでテレビ解説の木村八段の読みは、△5七馬▲9四角成△3九馬で、後手が指しやすいというものだったが、羽生が選んだのは△3五歩。結果論から言うと、木村説の方が後手にとって有利で、羽生も感想戦で△3五歩はよくなかったと率直に認めた。

さらに上図から▲3五同歩△2三銀▲9四角成△3六歩▲2六銀で夕食休憩に入った。

この将棋、その夕食休憩から再開した後がすごかった。どちらか一方が攻め、他方が守るというのではなく、互いに攻め、守り、その中には攻防手が随所に盛り込まれ、控室の形勢判断もなかなか一致しない。無論、素人ごときが評価できるものではなく、ただただ両対局者の指し手に感心し、ネット中継の解説に見入るばかりだった。

その熱戦が決着したのは午後9時41分。158手で羽生名人が初戦を制した。最後の△2三玉を指す羽生の手がわずかに震えていた。

今日の対局で一つ残念なことがあった。午前9時からのNHK BSの放送でもその様子がはっきりと映し出されたが、朝日新聞の観戦記を担当した東公平氏が対局中の羽生名人に、持参した扇子への揮毫を依頼するという、「元」の肩書きがつくとはいえ主催新聞社の記者としてはあるまじき行為に出たことである(参照)。

通常、立会人であれ、観戦記者であれ、対局中の棋士に声をかけるということはしないし、してはならないはずだ。今日の場合、NHKの長野亮アナウンサーも「何か扇子にサインでもしているようです。羽生名人も午前中ということで余裕があるように見受けられます」と戸惑いつつも当たり障りのないコメントでさらっと流したので、多くの視聴者は予定の行動だと思ったに違いない(私もそう思った1人である)。だが、今映像を見直してみると、羽生名人も郷田九段も驚いたような仕草を見せており、さらには、その様子をモニターで見ていた木村八段の表情、姿勢の硬さが事態の尋常ならざることを物語っていたようだ。

東公平氏といえば、長年朝日新聞で観戦記を担当し、棋書も多く出しているいわば観戦記者の「重鎮」の1人である。将棋好きで知られた作家の故山口瞳は「構成に工夫のある文を書く」といった言葉で、氏の観戦記を高く評価していたと記憶している。

当然対局室におけるマナーも心得ているであろうに、それが「郷田九段の手番だと思った」からと、大事な対局中の棋士にサインをねだるなど決して許されることではない。まして、手番すらも理解せずに盤側に坐っていたのかと、氏の書く観戦記の内容さえいい加減なものになるのではないかとさえ思えてくる。

伝えられていることが事実ならば、酷な言い方だが、氏に対局室に入る資格はないと思う。

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