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2009年4月29日 (水)

展覧会3件

今年も展覧会に行ってはいるのだけど、なかなかブログに書くことができない。

そこで今日は、これまでに行った中から3件の展覧会を簡単に取り上げよう。

Photoまずは“U-Tsu-Wa/うつわ展”。陶芸のルーシー・リィ(Lucie Rie、1902年オーストリア・ウィーン生れ、1995年没)とジェニファー・リー(Jennifer Lee、1956年スコットランド生れ)、それに木工のエルンスト・ガンペール(Ernst Gamperl、1965年ドイツ・ミュンヘン生れ)という、出身も年齢も違う3人の作家の作品に共通するのは“素の美”。選者三宅一生の審美眼が確かなものであることを物語っている(私は三宅一生のファッションというのをほとんど知らないが、ご本人は常にシンプルな服装であったと記憶している。彼の美意識の根底には“シンプリシティ”があるのではないかと勝手に推測している)。

おそらく、ルーシー・リィの器は茶碗として、ジェニファー・リーの作品は水指、そしてエルンスト・ガンペールの木工は花入れなどに見立て、茶道具に使われても違和感を感じることがないだろう。

建築家安藤忠雄がデザインしたというディスプレーはシンプルで、作品を引き立てていてよいのだが、できればもう少し近くで各作品を見たかった。

また会場の21_21 Design Siteはそれ自体が“建築作品”といった趣きで、一度は訪れることをお奨めしたい場所である。

2009年5月10日まで開催。

Photo_2“国宝阿修羅展”はおそらく今年関東地方で開かれる中で最も多くの来観者を集める展覧会となるだろう。私が行った日はあいにくの雨だったが、平日にもかかわらず人出は多く、本展覧会の最大の呼び物“阿修羅像”(国宝)は大勢の人が取り囲んでいた。

仏像の展覧会というのは、本来在る場所から運び出され、衆人環視の下に置かれるため礼拝の対象としての“仏のありがたみ”といったものはなくなってしまうが、その代わり普段は見ることのできない角度から、かなりの近距離で仔細に眺めることができるという得がたい体験が可能となる。

興福寺の阿修羅像は仏像写真集の表紙に使われることもあり、非常によく知られたもので、確か“日本の仏像人気コンテスト”といった企画で上位に選ばれたこともあったと記憶している。

インド古来の神で、仏教に帰依して仏法のガード役となった“八部衆”の一神で、名前の“Asura”は“命を与える者”と“天に非ず”の両義性を持つそうだ。この仏像は、説法の邪魔しようと釈迦に近づいたものの、説法に聞き入り思わず、生命を与える者としてのやさしい面を見せた姿だといわれている。

製法は“脱活乾漆造り”(だっかつかんしつづくり)といい、粘土で芯を作り、その周囲に漆をふくませた麻布を幾重にも重ねて形を作って行き、最後に中の粘土を取り除いてしまうというもので、7世紀頃中国で生まれた技法だが、現在中国には7世紀以前に作られた古い脱活乾漆仏は1体も残っていないという。日本では奈良県當麻寺(たいまじ)にある四天王像の一つ、持国天像(7世紀、重要文化財)が最古といわれている。

興福寺の阿修羅像は8世紀の作で、すぐれた作品が多い乾漆仏の中でも、唐招提寺の“鑑真和上坐像”(国宝)などと共に最高傑作のうちに数えられている。

ところで興福寺の阿修羅像だが、私はその目を見ると夭折した女優夏目雅子を思い浮かべてしまうのだが、今回実物を見てその思いが強くなった。もっとも彼女は、阿修羅などではなくはるかに上の菩薩にたとえられていたが。

国宝阿修羅展は東京国立博物館で2009年6月7日まで開催されている。

Photo_3旧三井財閥は伊勢松坂出身の三井高利(みついたかとし)が1673年(延宝元年)に江戸に開いた呉服店“越後屋”が始まりといわれている。旧四大財閥の中では住友に次ぐ歴史を持ち、いわば明治維新のどさくさの中でのし上がってきた三菱(創設者岩崎弥太郎)や安田(創設者安田善次郎)とは少々格が違うといったところだろうか。

それだけの長い歴史を有する三井家が所蔵する芸術作品、工芸品を集め展示しているのが三井記念美術館である。今回はその収蔵品の7割を占めると言われる茶道具の中から選りすぐりの名品が展示されると聞き、きっとあの品も出展されるに違いないと日本橋まで出かけてみた。

その“品”とは国宝の志野茶碗“卯花墻”(うのはながき)【写真】。

陶磁器で国宝に指定されているものは現在わずかに14点しかなく、その中でも日本で焼かれた茶碗は本阿弥光悦作の楽焼茶碗“不二山”とこの“卯花墻”の2点のみ。いつか“不二山”も見たいと思っている。

“卯花墻”は想像していたよりも少し大ぶりの茶碗でやや深め。たまたまとなりで見ていた2人連れの女性はどうやら茶の湯の素養があるようで(私はまったく不調法)、「あれだけ深いと、鼻にぶつかっちゃうのよね」、「そうそう、思いっきり上を向かないと飲めないね」という会話を交わしていた。茶碗の名品は実際に持ってみると驚くほど手になじむ物だということを聞いたことがある。“卯花墻”は果たして使っても名器だろうか。

勿論、ほかにも素晴らしい作品が多数展示されている。陶芸好き、茶の湯好きであれば一見の価値があるだろう。“三井家伝来 茶の湯の名品展”の会期は2009年6月18日まで。

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コメント

> 鼻にぶつかっちゃうのよね

アジア人の鼻は一般的に低いのですが。。。 ああ、だから欧米人はカップやグラスを高らかに上げて飲んでいるのですね。
ところで、Jackさん、横浜港の150才のお祝いには?

投稿: pompon | 2009年4月30日 (木) 00時58分

>横浜港の150才のお祝い

まだ具体化していませんが、行く予定ではいます。
今日の夕方、横浜の中心で人と会うので
その帰りにでもちょっとのぞくかも知れません。
なにしろ、主だった会場だけで7ヶ所もあるというので
どこから行くべきか迷ってしまいます。

投稿: Jack | 2009年4月30日 (木) 11時12分

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