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2009年5月26日 (火)

閉鎖されたホテル

Photoとある温泉地のホテル―32年前、私はそこにほんの1時間ほど滞在したことがあった。

32年前、8人でスキー旅行に出かけた。中に1人、その旅行で初めて知り合いになった人物がいた。旅行の帰り、その人が是非自分の家に寄ってくれとメンバーを誘った。その辺りに詳しい彼のおかげで抜け道を通り、スキー帰りの混雑にまき込まれることもなく、美味しい地元料理も食べることができた。取り立てて反対する理由もない。帰りのルートからは大きくはずれることになるが、その人の家に立ち寄ることになった。

そこは比較的よく知られた温泉地で、彼の家は温泉ホテルだった。

果たしてそこで何をしたのか記憶は定かでない。お茶をいただき、温泉地の名物でも買ったのかもしれない。とにかく滞在したのは1時間ほど。もう午後も遅く、帰りを急ぐ必要があったためだった。

その人とはその後一度だけ会ったきりだった。

先日、その温泉地の近くまで出かける用事があった。帰り、少し時間の余裕があったのと、カーナビに表示されたその温泉地の名前を見て思い立ち、寄ってみることにした。

ホテルはあった。しかし、閉鎖されていた。看板はそのままだったが、正面入口には白いカーテンが引かれ、脇の窓から見える限りでは室内に什器備品の類いは見当たらない。

32年前に一緒にスキーに行った彼がその後、家業を継いだかどうかは知らない。ただホテルは少なくとも数年前までは営業していたものと思われる。その頃訪ねていれば、息災かどうかぐらいは分かっただろう。でも今はもう…。

記憶に留めるため、最後に写真を1枚撮り、もう一度入口に近寄ってみる。入口をふさぐ白いカーテンを留めているのはピンクの洗濯バサミだった。

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