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2009年5月23日 (土)

ギャラリースコープ【1】

美術館や博物館に行くようになった頃、展示品を双眼鏡で見ている人を時折見かけた。

それで私も一度だけ、その当時持っていた双眼鏡を携えて展覧会を見に行ったことがある。だが、それが大失敗。双眼鏡で見れば、画像が大きくなってさぞや迫力があるだろうと期待していたのだが、思いのほか画像は大きくならず、しかも双眼鏡の視界はせまくて暗い。できるだけ作品に近づいて、肉眼で見る方がよっぽど良く見える。

その後、サッカー観戦用に双眼鏡を買い替え、展覧会の内容によっては持って行くこともあった。前のに比べるとだいぶましにはなったが、やはり肉眼の方が具合が良い場合が多かった。また双眼鏡は少々かさばる。

そんなこともあり、私は長い間、展覧会は肉眼で見る派だったのだが、先日、大阪の東洋陶磁美術館を訪れた時に、目の前数10センチのところにある青磁や白磁の表面をもっとアップで見てみたいと切実に感じた。

帰宅して早速調べてみると、美術館などでの展示品鑑賞用の単眼鏡(モノキュラー)があり、それを「ギャラリースコープ」と呼ぶことを知る。

さらに調べると、単眼鏡なら性能の差は別にして、基本的にはどれでもいいのだろうと単純に考えていた自分が如何に浅はかだったかを知ることになる。

以下に単眼鏡/双眼鏡について学んだことを簡単におさらいしてみる。

スペックには次のようなものがある。

 本体サイズ
 本体重量
 対物鏡径
 明るさ
 倍率
 1000m先の視野
 射出瞳径
 アイレリーフ
 最短合焦距離
 薄暮係数

サイズや重量は持ち運びや長時間持って見るときなどに関係してくる。経験者の話などからは、おおむね手の中にすっぽりと納まるぐらいで、100g程度までが美術品鑑賞には向いているらしい。

対物鏡径とは対物レンズの直径であり、これが大きいほど見やすくなる。ただし単眼鏡では20mm前後が主流のようだ。

倍率は文字通り、ものの見かけの大きさである。これも数字が大きいほど、ものが大きく見えることになるのだが、無闇と大きければよいというわけではない。倍率が大きすぎると「手ブレ」の影響を受けやすくなる。手で持って見る単眼鏡では6~8倍が適切だとのことである。

明るさとはレンズの見かけの明るさということで、明るさ=(レンズ径÷倍率)2の式で得られる。

「1000m先の視野」とは、1000m先を見たときにどのくらいの範囲が視界に入るかを数字で表したもので、大体100m以上であれば実用上問題がないとのことである。

射出瞳径とは接眼レンズから射出される光の直径といった意味で、当然この数字が大きいほど見やすいわけだが、実用上は2~3mmもあれば問題ない。この数値は射出瞳径=(レンズ径÷倍率)で求めることができる。

アイレリーフとは、いわば「レンズから目を離しても、ぼやけずに見える距離」を表す数字で、裸眼の人であればあまり気にしないでよいが、私のようにメガネを使用している者は確認する必要がある。一応、15mm以上であればメガネ使用者も不都合なく使えるとのことである。

薄暮係数は薄暗い状態での見やすさといったぐらいの意味で、薄暮係数は倍率×レンズ径の平方根と定義されている。

こうしたスペックの中で、美術品、特に陶磁器などを近くで見る際に重要になるのが、最短合焦距離である。これは文字通り、どれくらい近くを見ることができるかということで、ギャラリースコープとして設定されている商品はほとんどが0.3mになっている。

実はこれが、展覧会用単眼鏡に関して私がまったく無知であったと痛感した理由である。どんなに明るくて、倍率が大きな単眼鏡であっても、最短合焦距離が5mもあったら展覧会の鑑賞には使えない。

さて次は具体的に製品を選ぶことになるのだが、その時に参考したのが既に所有していた(新しい方の)双眼鏡である。以下、そのスペックを記す。

 1000m先の視野:122m
 射出瞳径:2.3mm
 アイレリーフ:8mm
 最短合焦距離:4m
 薄暮係数:約14

【この項続く】

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コメント

 初めまして。ギャラリースコープ選びに悩んでいろいろ検索するうち、こちらにたどり着きました。この記事続くとのことですが、この1ページ目だけでもとても参考になりました。最短合焦距離の問題、まさに気になっておりましたのです。ありがとうございます。そのような訳で、続きを心待ちにしております!
 私事を少々。今日、ツァイスの3倍のモノキュラーと、エッシェンバッハの四角い対物レンズの6倍のものとを、デパートにて実物を使い比べてみたのですが、結論が出ず買わずに帰ってきました。6倍くらいの倍率はあった方が良いのでしょうか?
3倍ならオペラグラスのいいのがあるし、と思っておりましたが、最短合焦距離が大きすぎる訳ですね。

ツァイス3倍/
http://www.zeiss.co.jp/C1256C2F003FC7DC/Contents-Frame/C720E47902FFD04DC1256C2F0034274C
5万円くらい。高い!高倍率のものより高価格なのは何故なのでしょう?でも色がそのまま。レンズの明るさとか薄暮係数とか言った数値とは違った、クラリティみたいな要素が関わってくるのでしょうか?最短合焦距離は20㎝。
エッシェンバッハ6倍/
http://store.shopping.yahoo.co.jp/item-land/tr044.html
2万円くらい。ツァイスの3倍と比較すると、手ぶれ、視野の狭さ、それから焦点合わせが難しい感じがいたしました。最短合焦距離は1m。同シリーズで3、5倍のモデルもあるようですが、そちらも最短合焦距離は1m。
 
 続きを拝読いたしましたら、その知識をもとに、もう一度見に行ってみようと思います。お邪魔いたしました。

投稿: はる | 2009年5月24日 (日) 23時11分

はるさん、こんにちは

単眼鏡の選択は考えはじめるとキリがありませんね。
そこで先ずは目的をしっかりと定めることが重要だという気がします。私の場合は「美術館での陶磁器鑑賞」を第一に考えました。これが一般的な「陶磁器鑑賞」、つまり手にとって見ることができる場合であれば大型ルーペで問題ないのですが、薄暗い環境で、少し離れて見なければならないので頭を悩ませるわけです。
私の結論(選択した製品)については、昨日アップした続編をご覧ください。

投稿: Jack | 2009年5月25日 (月) 13時27分

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