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2009年6月15日 (月)

将棋:第67期名人戦七番勝負第6局1日目

挑戦者郷田真隆九段が3勝とし、初の名人位に王手をかけた今期名人戦はいよいよ第6局目を迎えた。

先手羽生善治名人の初手は▲7六歩、これに対して郷田もいわば郷田にとっての「定跡」といえる△8四歩と応じ、以下▲6八金△3四歩▲6六歩と進み、誰もが本局も矢倉の戦いだろうと思った矢先の8手目で「事件」が起きた。

7手目▲6六歩に対し、郷田8手目は△6四歩(下図)。

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今期名人戦のみならず、両者のこれまでの対戦で もほとんどなかった後手郷田の振り飛車(模様)である。

この後、指し手が進み、20手目に郷田が△2二飛として向い飛車に。

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いわゆる「陽動振り飛車」である。実戦例は数局あるそうで、名人戦でも98年第56期第2局▲佐藤挑戦者-△谷川名人戦があったという。

上図から5手進んで下図となり、昼食休憩に入った。

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郷田の振り飛車については、おそらくネット上でもいろいろな意見が飛び交うことになるだろう。賛否いずれがまさるかは不明だが、私は否定的な見方をしている。第一には、振り飛車に切り替える意味(=理由)が解せない。

勝負事は無論「理」によるところが大きく、ことに将棋は「理」を味方に付けない限り勝つことは困難である。ただ同時に「情」の比重も決して小さくない。「情」とはこの場合「気魄」と言ってもよい。或いは「闘志」とも言える。さらに勝負事には「流れ」がある。或いは「勢い」といったらよいだろうか、偶然の要素が多少とも絡む麻雀のような勝負事で顕著なことだが、勝ち運に乗った人間は手が付けられないことがある。

かつて大山康晴名人に挑んだ若き挑戦者中原誠が2勝3敗と追い込まれ、半ば開き直って振り飛車を採用。見事名人位を奪取したことがあり、さらには「君子は豹変」するという諺もあって、その後大勝負でそれまであまり指したことのない戦法を用いることに好意的な意見も見受けることがあったように記憶しているが、あの中原の振り飛車採用はまさに「結果オーライ」の典型である。

本人も語っているが、あの名人戦、中原はほぼ諦めていた。そこで勉強する意味もあって、対戦相手である大山の得意技を逆に試してみようと思い立ったという。それが奏功し、ついにはタイトルをつかみ取ったわけである。

で、今回の郷田の陽動振り飛車だが、中原のような事情での採用ではないことは明らかだ。ではなぜ…。もうこれは本人に尋ねるしかないが、あまり明快な答えは得られないような気がする。

次には作戦自体の持つ「姑息さ」が気になる点である。出だしの手順からも分かるように、誰もが矢倉戦だと思うような指し方でスタートし、途中から振り飛車に切り替える。別に、陽動振り飛車がいけないというのではないが、名人戦の大舞台で、自他共に認める居飛車党の郷田が披露すべき将棋ではないだろう。どうにもこの作戦からは、「俺の将棋で名人位を奪るんだ」という気魄が感じられない。こう言っては酷かも知れないが、これで郷田が名人になったとしても決して長続きはしないだろう。

そしてもう一つ、2007年第65期名人戦で森内俊之名人に挑んだ時、第1局、2局と居飛車で連勝した郷田がなぜか第3局で三間飛車を採用し苦杯を喫したことがある。あの時も、なぜそれまでの流れを大切にしないのだろうと不思議に思ったものだ。

郷田の作戦が吉となるか凶となるか…。結論は明日出る。

1日目は、35手目を羽生が封じて終了した(下図は封じ手局面)。

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