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2009年6月17日 (水)

「野心的」

先日麻生総理大臣が、2020年までに達成することを目指した、CO2などの温室効果ガス削減目標を「2005年比15%減」とし、「欧米を上回る野心的目標」だと胸をはって発表した。

果たして、「2005年比15%減」が本当に「野心的」なのかどうかについては、異論反論があるようだ。EUやアメリカの削減目標は対2005年比に換算するとそれぞれ13%と14%であり、15%をもってこれらを「上回る野心的目標」と言えるかどうか。早速中国からは手厳しい批判の声が上がっているようである。

ところで麻生総理が使ったこの「野心的」なる言葉だが、おそらく英語の「ambitious」の翻訳であろうと思われる。英語では「思い切った目標」といった意味で「ambitious target」といった使い方をする。

だが日本語の「野心」という言葉には、「野望」に通じる少々ネガティブな意味合いがある。自らの政策に「新鮮さ」を加味したかったからなのか、或いは海外に報道される際、英語で「ambitious」(この英単語にネガティブな意味合いはない)と翻訳されることを想定して使ったのかは不明だが、どうも小泉元総理の「骨太」と同様、言葉としての坐りの悪さを感じる。

これを機に「野心的」という語が、「大胆」や「思い切った」に代わって使われるようになるのかと思い、目安としてGoogleでのヒット件数を記録しておこうと検索したところ、結果は次のようになった。

「野心的目標」=45,800件
「大胆な目標」=5,390件
「思いきった目標」=17,500件(「思い切った目標」を含む)

どうやらネットでは既に「野心的目標」は一般的な表現になっているようだ。

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コメント

仏語も同じ単語があるのです(調べたら英語の語源が仏語またはラテン語とありました)。文章によく使われるのですが、辞書で引くとやっぱり「野心」とか「野望」とかなんですね。で、個人的にこの日本語には「腹黒い」望みや目的であるように感じるので、(私のなかで)原文の前後と釣り合いが取れなくなってしまいます。あるとき「少年よ、大志を抱け」の原文を見たときにびっくりしました。やっぱり言葉はよく選ぶべきですね。
政治は、、、日本もカナダも頂点がぐらぐらしているようですよ。

投稿: pompon | 2009年6月18日 (木) 10時38分

>「少年よ、大志を抱け」

"Boys be ambitious." もしかしたら人生で最初に憶えた英語の
センテンスかもしれません。もっとも、その当時は英語という
自覚はまったくありませんでしたけど^^;
英語のambitiousには「腹黒い」的なNegative connotationはないのですが、
フランス語ではどうなんでしょう。
日本語の「野心」はだんだんPositiveな意味で使われるように
なるのでしょうね。

投稿: Jack | 2009年6月19日 (金) 10時51分

フランス語にもそういう不快感を伴う含みはないと思います。文章を読んでいて、辞書通りの言葉を当てはめてしまうと落ち着かないことが多いですから。

"Boys be ambitious." の後に、Be ambitious not for money or selfish aggrandizement , not for that evanescent thing which men call fame .と続くのですよね。「野心」ではなく「大志」って念を押しているようです(米国人らしい)。

> 「野心」はだんだんPositiveな意味で使われるように

ネットでのヒット数を見たときにJackさんと同じように思いました。ambitiousの訳語として辞書に「野心、野望」しか載っていないのも一因でしょうか。他に廃れる言葉があるかもしれず、ちょっと寂しいですね。

投稿: pompon | 2009年6月19日 (金) 13時02分

一ヶ月近い前のこのエントリーに書くのを躊躇していたのですが、やっぱりJackさんの意見を聞いてみたくて書いています。外務省のサイトに、「擁立」という言葉が使われているのですが、どうもこの言葉には、「横から無理やり」みたいな、「野心的」な含みがあるように感じるのはわたしだけでしょうか。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/21/4/1190175_1096.html

こういうお役所の公式サイトには不自然に思えるのです。「推挙」とか「推薦」ではおかしいのでしょうか。それともこの「擁立」も英訳(たぶん公式文書は英語で提出されているのでしょう)の影響でしょうか。
Jackさん、ご迷惑だったらごめんなさい。

投稿: pompon | 2009年7月15日 (水) 12時37分

「擁立」には「かつぎ上げる」といったニュアンスも感じられますね。

広辞苑によれば、擁立=「擁護して帝王などの位に即かせること。また、位に即かせようとして、もりたてること。」

「擁立」の「擁」は「擁護」の「擁」(かばう)だったんですね。ふむー、これだと上のケースには当てはまらないみたいですね。ここは普通に「候補とする」でいいんじゃないでしょうか。それと「推薦」でもいいと思います。外務省もしっかりとした文章を書ける人間が少なくなってるんですかね。

投稿: Jack | 2009年7月16日 (木) 00時15分

Jackさん、ありがとうございます。
英語ではたぶんback up, support でしょうか。日本語のようなニュアンスはないと思います。
言葉って本当に難しいですね。

投稿: pompon | 2009年7月16日 (木) 01時34分

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