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2009年7月17日 (金)

北海道大雪山遭難事故

北海道の大雪山系で起きた遭難事故で10名の方が亡くなった。

山登りの経験は高校の時、学校の行事でいずれも夏に日光の男体山(2486m)と奥白根山(2578m)に登った程度だが、山とは怖いものだということはその2回の経験で学んだ。

男体山では濃い霧に包まれ、まさに五里霧中。男体山の山頂には岩に刺さった長さ数メートルの剣があるのだが(伝説に由来するものらしい。調べたが、どんな伝説か確認できなかった)、その刀身が途中から霧の中に溶けて見えなかった。その後は雹も降り、風も出てきて、元々は山頂付近で昼食にするはずだったが、引率していた山の経験が豊富な教師の判断で、山頂からかなり降って、風の影響をあまり受けない岩陰のようなところで食事を取った。夏だというのに寒さにふるえながらの食事だった。

山で食べたご飯が美味しかったというのはよく聞く話だが、その時の握飯は冷たくて固く、とても旨いと言えるような代物ではなかったのを憶えている。

その翌年、今度は奥白根山に登ったのだが、幸いその日は快晴で、山頂からは小さく霞んではいたが富士山も見えた。こんなに気持ちがいいものなら登山も悪くないななどと、周囲にいた連中と話をしたものだ。

ところがその帰途で問題が発生する。

下山中、隊列の進行がゆっくりになったり、止まったり、また動き出したりと一定しない。そのうち完全に止まってしまい、引率の教師数人が生徒の名を呼んで集め始めた。柔道部、野球部、サッカー部など、いずれもガタイのいい連中が選ばれ、先生たちと一緒に隊列の前へと移動して行った。

生徒3人が高山病にかかったという。1人は自力で歩けないほどだった。ボーイスカウトに入っている生徒たちが、木の枝などを利用して担架を作り、それに乗せて運ぶことになった。

その間に元気な生徒たちは先に下山することに決まった。担架をこしらえている側で横になっている3人。そのうちの1人は個人的に仲のいい友だちだった。サッカー部のフォワードで体力もある。それなのに高山病にかかったというのが信じられなかったが、その傍らを通り過ぎるとき見た、蒼ざめた表情は具合の悪さを如実に物語っていた。

最終的に全員が無事下山し、具合が悪くなった連中も、湯ノ湖のほとりにあった宿舎に着く頃にはだいぶ回復していた。その後、病院に行ったかどうかは知らないが、翌日はみんなと一緒に帰京した。

それまでは正直、「山に登るぐらい簡単なことだ」と思っていた。だがこの2度の経験で、山をあまく見てはいけないと感じた。その高校には、全国大会に出場したこともある山岳部があったが、彼らが普段の練習で、砂の入った重そうなリュックをかついで校舎の外階段を黙々と登っていたのは、登山にはそれだけの体力が必要だったからだろう。

今、登山用のウェアや用具が進歩し、みんな、なんだかとっても簡単に山に出かけていくような気がする。しかし山は山である。どんなに用具やウェアが進歩しても、それを登るのに求められる基本的体力は昔も今も変わらないはずだ。これは想像だが、今回の事故は現在だから起きたのであり、10年前、或いは私が山に登った40年前では絶対に起こらなかっただろう。その現在と過去の違いは…用具やウェアに頼り過ぎている面があるのではないだろうか。

山に向うのであれば、どんな山であれ、山に負けない力を備えておくべきだろう。

今回亡くなった方たちは50代、60代だった。私と同世代ないし上の世代だ。孫もいただろう、まだまだやりたいこともあっただろう、無念だったろう。それが残念である。

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コメント

(退院直後なので亀コメントですが)
この事故、お亡くなりになった方々はお気の毒ではありますが、報道を聞いたかぎりでは装備に油断がありすぎたようです。

私も、10年ほど前に尾瀬の燧ヶ岳に登ったとき、頂上付近で視界数メートルという濃霧に遭遇し、やはり食事どころではありませんでした。数年前の男体山はさいわい天気に恵まれましたが、GW 頃には残雪たっぷりです。

私の影響があるのかないのか、今春大学に入った長男が登山サークルに入り、夏場は毎週末どこかの山へ出かけています。

投稿: baldhatter | 2009年7月31日 (金) 19時58分

baldhatterさん

退院おめでとうございます。しかし松葉杖が原因とは…ある意味人災ってことに
なるのでしょうか。とにかく「三度目」がないように十分ご注意ください。

この事故ですが、その後の報道内容をつぶさに見ていると、どうやら「ガイド」の
側にも問題があったり、そもそも「パッケージ登山」なるものが適切かどうかという
問題もあるようです。

亡くなった方たちにはお気の毒ですが、やはり2000mを超える山に登る以上は
日頃のトレーニングも必要だし、装備も知識も相応のものが求められると思うん
ですよね。

投稿: Jack | 2009年7月31日 (金) 22時01分

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