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2009年8月10日 (月)

将棋の奥深さ:第22期竜王戦決勝トーナメント森内-羽生戦から

将棋の難しさなどといったことを今さら言っても、大かたの人は「そんなこと、言われなくても分かってるよ」と仰るだろう。

また、本当の意味での将棋の奥深さを描写するには、私が力不足であることはまぎれもない事実である。

ただ、時々将棋は思いがけない面を見せてくれることがある。先日行われた第22期竜王戦の挑戦者決定トーナメント森内俊之九段-羽生善治名人戦の終盤に、将棋の難しさが分かりやすい形で現れた。

“分かりやすい難しさ”というのも変な言い方だが、まずは下の図をご覧いただこう。

先手の森内優勢で進んできたこの将棋だったが、今ようやく後手の羽生が△5八金と打ち込んで王手をかけ、森内の玉が7七に逃げたところである。

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ここで後手側に、次の一手に出したいような鮮やかな手が生じた。△2一竜である。先手の成香を取ったこの手に対し、先手は同馬と取り返すことができない。

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馬が1二から動くと、△7八銀成▲同玉△6七金打の詰みが生じるからだ。△7八銀成に▲8六玉でも簡単な詰みだ。

そこで森内が指したのは盤上この一手の▲7九銀、一見つらいしのぎである。それに対して羽生は△1二竜と先手の馬をも取ってしまった(下図)。

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それまで何もなかった羽生の駒台に角と香が乗ることになった。普通に考えれば、これで後手が悪いはずはない。ところが…

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森内は危うい形の自玉をそのままにして、▲3一竜と攻め合いを選択した。実はこの局面で、後手は先手よりも1手遅くなっていた。最も強力な攻め駒である竜が1二という僻地に追いやられた格好になってしまったからである。

この後、森内が的確な攻めで後手玉をしとめ、羽生投了となった。これで羽生の永世竜王位をかけた渡辺明竜王との再戦はかなわぬ夢となってしまった。

なお挑戦者決定三番勝負は、今日準決勝を戦っている深浦康市王位-久保利明棋王の勝者と森内の間で戦われることになる。

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