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2009年8月 8日 (土)

「さん」と「容疑者」の落差

このブログではあまり芸能界のことは取り上げないのだが、今回はいろいろと考えさせられることがあり、のりピーの一件について気づいたことをいくつか書いてみたい。

「酒井法子」という歌手の存在を知ったのはもう20年ぐらい前のこと、テレビ東京の『バブル&リカコSOUL天国』という番組にゲスト出演し、村上里佳子とバブルガム・ブラザーズに囲まれ、マーヴィン・ゲイのヒット曲『What's Going On』を歌った時だった。

ご存知のようにバブルガム・ブラザーズの2人はかなり背が高く、村上里佳子も女性としては背が高い。その3人の間にちょこんとはさまれた小柄な女の子は可憐に見えたし、ミニスカートがキュートだった。また歌声も声量豊かな3人に比べるとか弱く、その落差の大きさが印象深かった。

その可愛らしい女の子が20年後に覚醒剤取締法で捕まることになるとは。

人づてに聞いた話では、警察が本当に狙っていたのは夫ではなく酒井法子本人の方だったという。かなり以前から、あまり評判のよくない店に出入りしていたという噂もある。また最近になって左足の内側にタトゥーを入れていた。

夫が逮捕された直後に行方をくらまし、10歳の長男も所在が確認できなくなったことから、失意のあまり、子どもを連れて姿を隠した悲劇のヒロイン視されていたのが一転、今日ついに逮捕されるに至った。

覚醒剤の恐ろしさは既に語り尽くされているが、それでも手を出す者が後を絶たない。これも風説の域を出ないが、北方の国や西方の遠国で作られた「品物」が世界中で大量に流通していて、それが裕福な国日本に流れ込んできているという。流通量が増えれば、経済の原則に従い価格が下がる。そのため手に入りやすくなり、若い世代が好奇心から手を出し、やめられなくなる。そうした覚醒剤など麻薬の蔓延には社会の閉塞感も一因として挙げられるかもしれない。

東京のとある繁華街を夜1人で歩いていると、怪しげな人物が近寄ってきて、「クスリあるよ」とカタコトの日本語で声をかけてくることがある。まさに我々のすぐ近くに覚醒剤はあるんだということを認識しなければならない。

さて、今回の騒ぎでもう一つ気になったのがマスメディアの報道方法。下の2枚の写真を見比べれば分かるが、明らかに「酒井法子さん」と「酒井法子容疑者」では、写真から受けるイメージが違う。

テレビのニュースなどでも「被害者の女性」と「容疑者の女」と、性別を示すのにも微妙な言葉の使い分けがあり、善玉と悪玉の違いを印象付けるある種の情報・イメージ操作という気がしていたが、このような写真の入れ替えもそれと同類の情報操作ではなかろうか。

逮捕された人間を呼び捨てにせず、「酒井法子容疑者」というように「容疑者」を付けるようにしたのは、「被疑者は無罪を推定されている立場であり、呼び捨ては無辜(むこ)の市民を傷つけているのではないかとの指摘のほか、呼び捨ては庶民感情による犯罪への感情的反発を露骨に表し過ぎており、メディアとしての公平性や冷静さに欠けるとの指摘や、その関連で呼び捨てにすることが一種の社会的制裁による私刑の要素を持つことなど、基本的人権の観点から呼び捨ては適正でないことが廃止の理由であったためである」(Wikipedia)とされている。

この論理に従うなら、「酒井法子」と呼び捨てにしていない一方で、このように写真を交換するという行為の間には矛盾があると思う。(参考1参考2

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コメント

これは悪質ですねぇ。服装と背景からすれば、この 2 枚は明らかに、同じとき写した一連の写真のうち、写りのよかったショットと写りの悪かったショットということですよね。まるで、悪意に満ちた 2ch 系サイトか何かの画像比較みたいです。

人権団体はこーゆーところにこそツッコミを入れるべきでしょう(少なくとも親族とか所属会社は抗議する権利がありそうですが、もしかしたら、そういう味方ももういないのかな)。

投稿: baldhatter | 2009年8月 9日 (日) 10時14分

>服装と背景からすれば、この 2 枚は明らかに、同じとき写した
>一連の写真のうち、写りのよかったショットと写りの悪かった
>ショットということですよね。まるで、悪意に満ちた 2ch 系サイト
>か何かの画像比較みたいです。

表情の落差だけでいえば、こんなのも(参考3)あります。ただし、こちらは「スポニチ」が掲載媒体のようですね。スポーツ紙って芸能人は呼び捨てにするんでしょうか。スポーツ紙をほとんど読まないのでその点については分かりません。

参考3:http://mainichi.jp/enta/geinou/news/20090806spn00m200017000c.html?inb=tw

投稿: Jack | 2009年8月 9日 (日) 16時29分

初めまして。
「さん」と「容疑者」のお話、なるほど!と思い、また、印象の怖さを感じました。
参考にさせていただきました。

投稿: shotbar | 2009年8月11日 (火) 20時14分

shotbarさん

バイアスゼロの報道などというものが存在しないのは自明のことですが、
それでもこの写真の交換は何とも露骨な“偏向報道”という気がしました。
逮捕された者の写真が笑顔でも何ら不都合はないと思うのですが。

投稿: Jack | 2009年8月11日 (火) 22時51分

渡加したばかりのころは、身近にマリワナ/コカインを目にするとびっくりしたものですが、このごろは何とも思わなくなりました。欧州から来た人たちも、違法物があまりに簡単に手に入るので首をかしげながら、、、それでも手にするのですね。もう個人の良識に任せるしかありません。警察も、常習者でも我を忘れない程度の人を釣っていたのでは切りがないので、よほど大量に持ってない限り相手にしません。それよりも販売網のほうに力を入れているようです。

逮捕状が出る前と後で報道のされ方は明らかに変わりました。とくにスポーツ新聞や芸能雑誌系では読み手が引いてしまうくらい違います。恐ろしいと思いました。

> もしかしたら、そういう味方ももういないのかな

たぶん日本人の気持ちとしては、抗議したくても、申し訳ない気持ちが先行して抗議できないのではないでしょうか。

投稿: pompon | 2009年8月11日 (火) 23時49分

> 左足の内側にタトゥーを入れていた

あのう、やっぱり印象悪いですか?
Jackさんの子供さん世代でも同じ印象でしょうか?
私はあまりよく思わないのですが、こちらでは流行っていてタトゥーを入れていない人を探すのほうが大変です。

投稿: pompon | 2009年8月13日 (木) 08時54分

>あのう、やっぱり印象悪いですか?

はい、文化的背景の違いだと思いますが、日本ではまだ「タトゥー」は
白眼視される傾向があります。
たとえば、(公的支援を受けている銭湯は別ですが)、私営のサウナ
などでは「刺青お断り」の貼紙があります。プールも同じですね。
なにしろ数百年の歴史が背後にありますから、なかなかこの「偏見」は
抜けないでしょう。

投稿: Jack | 2009年8月13日 (木) 22時30分

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芸能方面に疎いことでは人後に落ちない私。酒井法子という人も、今回ニュースになるま [続きを読む]

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S くんと B ちゃんと、ちょっと真面目な話題について話したことの延長で、気になっている記事がある。 最近、覚醒剤取締法で逮捕された芸能人の、ニュース報道のことだ #63723;。 参照先:「さん」と「容疑者」の落差 ▼「さん」の記事の写真。 酒井法子さん:山梨..... [続きを読む]

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