« 急がなくなったNHK | トップページ | 「だから」:賢者の口癖 »

2009年9月 3日 (木)

将棋:棋界の透明性

あれから半年が経過した。

あの時中継現場である将棋会館から排除された青葉記者はその後、名人戦をはじめとする棋戦の中継という仕事に戻りつつあるようだが、未だに順位戦の中継(そのためには将棋会館に入る必要がある)には復帰していない。

その青葉記者はブログを持っているが、ここ2、3カ月はこの問題に一切触れていない。

一方、日本将棋連盟の方は1度だけ、他の問題に関連した「公開質問状」において、その中の1項目として取り上げただけである(参考)。ただ米長邦雄日本将棋連盟会長の個人的Webサイトでは、外部の人間にはまったく要領を得ない書込みが何度かあった。それもまた、ここ数カ月は影をひそめている。

今年3月に事件が発生してからは、多くの将棋ファンが日本将棋連盟を見限るような発言をし、将棋雑誌を買わなくなり、有料中継サイトの登録を解除し、さらには将棋を指すこと自体止めると宣言したりと、いわゆる「将棋離れ」が起きたが、今回のもめ事の遠因はどうやら、「女流棋士の独立問題」にあるようだ。

一昨年、一部の女流棋士が日本将棋連盟を退会し、新たに日本女子プロ将棋協会(LPSA)を立ち上げた。団体が分裂する時につきものの“内紛”めいた騒動があり、青葉記者はその際、退会独立派につき、それが米長会長以下の日本将棋連盟執行部の不興を買ったようだ。

そうした背景があったところで、青葉記者がネット上で公表した事柄に関して将棋連盟の理事が削除を要請し、削除を求めるならその旨の文書を出すよう青葉記者が応じたことから感情的なやり取りに発展したらしい。

ここまで書いて、自分の文が「…ようだ」、「…らしい」ばかりなのに些かうんざりしてきた。

だが、正確に書こうとすれば「…ようだ」、「…らしい」とならざるを得ない。というのも、冒頭に述べたように、当事者たちが事の詳細について公表していないためである。

これまでのところ、上述の通り日本将棋連盟が公開質問状で取り上げ、また青葉記者がIT関連の嘱託のような立場にあるLPSAの名誉理事長であり、弁護士の錦織淳氏が2度、LPSAのサイトに声明を発表している(参考1参考2)、しかし、錦織氏はこの件に関しての「当事者」とは言えず、声明の内容も事の詳細には触れていない。また日本将棋連盟は「ネットの担当者個人(青葉記者)と主催新聞社(毎日新聞)の間のトラブル」だとして、連盟は関係がないとの姿勢で情報の開示を一切していない。そのため6カ月後の今も部外者にはすっきりとしない状態のままである。

私はどちらが良いとか悪いとかの判断を下したいわけではない。正直言えば、この問題自体はさして大きなものではないという気もする。だが、日本将棋連盟(ことにその執行部)、また将棋界およびその周辺にいる人たちに見られる隠蔽体質に大きな疑問を感じるものである。

その点に関しては、青葉記者と日本将棋連盟は同罪であると思っている。なぜなら、未だに事の詳細(たとえば、実際に青葉記者に会館の外に出るよう促したのが誰かといったこと。連盟執行部が言うようにこれが青葉記者と毎日新聞のトラブルであるなら、それは連盟とは無関係な人物でなければならない)がまったく明らかにされていないからだ。

日本将棋連盟をめぐっては、この青葉記者問題以外にも大小様々なトラブルや疑惑めいた事柄が存在する。

プロ将棋は人気商売である。ファン(将棋を観戦・鑑賞する人たち)がいて、はじめて成り立つものである。それが先年の名人戦の主催紙問題でファンの“将棋離れ”が引き起こし、ついで女流棋士問題でも、またこの青葉記者問題でも将棋から離れる人たちを生み出してしまった。

そのようにファンをないがしろにするような将棋界では、早晩ファンから見限られてしまうに違いない。先日の衆議院選挙では、長年政権にあった自民党が有権者からの不信任を突きつけられ下野することになった。民主党が選ばれたのには様々な理由があろうが、その一つに(自民党との比較において)透明性の高さがあったと思う。

新聞・テレビ・雑誌といったマスメディアのみならず、現在はネットという安価で優れた伝達手段がある。こうしたメディアを有効に活用し、ファンに対する情報伝達を的確に行っていかなければ、これからはどんな人気商売も立ち行かなくなるだろう。

夏休みの間に開催された将棋祭りや各種大会は盛り上がりを見せたが、それは将棋が本来持っている魅力が人々を惹きつけているのであり、将棋関係者はそのことを謙虚に受け止め、透明性の確保に努めるべきだ。

また万一、透明性を実現させると露呈してしまうような不都合、不祥事があるというのなら、関係者はその責任を取った上で、即刻身を退くべきである。

|

« 急がなくなったNHK | トップページ | 「だから」:賢者の口癖 »

将棋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/220529/46113043

この記事へのトラックバック一覧です: 将棋:棋界の透明性:

« 急がなくなったNHK | トップページ | 「だから」:賢者の口癖 »