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2009年9月30日 (水)

死刑と無期懲役の差

2007年4月に長崎市長が殺害された事件で控訴審判決が出て、1審の死刑から無期懲役に減刑された。

今死刑の是非については措いておくことにして、「計画性のなさ」、「動機=個人的恨み」、「殺したのが1人だけ」という今回の減刑理由について考えてみたい。

これを言い換えれば「日ごろから恨みに思っていた人間1人を、無計画に殺害した程度では死刑は重すぎる」ということだろうが、「計画性のなさ」という点が引っかかる。

一般的な発想としては、「計画的でない犯罪」とは、たとえば「道を歩いていたら、日ごろ恨みを感じている相手に偶々出くわし、思わず殴りかかったら反撃されたので、手近にあった石で顔を殴ったところ相手が死亡した」などというケースに該当するように思うのだが、どうやら法律的には、「一般には入手が困難で、所有しているだけで犯罪となり、十分な殺傷力が証明されている拳銃を事前に用意し、実弾20発以上を携行して、目的の人物が必ずいるであろう選挙事務所まで赴き、至近距離から銃を2発発射して死に至らしめた場合」でさえも当らないもののようらしい。また拳銃を用いた犯罪だという点も判決からは抜け落ちているような気がする。

さらに日本には現在、仮釈放が一切認められない絶対的終身刑がなく、死刑の次に重いのは無期懲役となっている。この無期懲役とは、「刑期の定めがない刑のことで、法律的には、“改悛の状”(原文ママ)がある時、(中略)仮釈放が許される可能性がありますが、その場合であっても一生の間、保護観察に付され」る刑であるとのことである(「Exciteニュース」)。

つまり、終身刑が死ぬまで刑務所から出られないのに対し、無期懲役は“改悛の情”が認められれば“シャバ”に出てくることができる。

では実際に無期懲役刑を受けた者が改悛した場合、何年ぐらいで仮釈放されているのだろう。次のような統計がある。

    総人数 15年以下 20年以下 20年超  平均年数
1990 14 1 7 6     203ヶ月
1991 34 2 26 6     181ヶ月
1992 20 0 13 7     1911ヶ月
1993 17 1 13 3     181ヶ月
1994 19 0 15 4     183ヶ月
1995 16 1 10 5     20
1996 7 0 5 2     205ヶ月
1997 12 3 3 6     216ヶ月
1998 15 0 5 10     2010ヶ月
1999 9 0 4 5     214ヶ月
2000 7 0 0 7     212ヶ月
2001 13 1 1 11     228ヶ月
2002 6 0 1 5     235ヶ月
2003 14 0 0 14     234ヶ月
2004 1 0 0 1     2510ヶ月
2005 10 0 0 10     272ヶ月
2006 3 0 0 3     251ヶ月
2007 1 0 0 1     3110ヶ月
2008年 4 0 0 4    28年7ヶ月
参考

これを見ると近年、仮釈放までの期間が長くなる傾向にあることが分かる。これは刑法改正によって懲役刑の最高が20年から30年に引き上げられたこと(2004年)によるものと思われる。また総じて仮釈放になる人数も少なくなっている。

それでも被害者やその家族、遺族の感情からすると、「20~30年おとなしくしていれば、社会復帰することができるのだ」という理不尽な思いは払拭できないだろう。

近親者を殺された人の中には、犯人が自分と同じ空気を吸っているのだと思うと耐えられないと言う人がいる。また、かけがえのない者の命を奪われた悲しみ、苦しみは一生消えることがないとも。

果たして終身刑によってそうした悲しみ、苦しみが多少とも軽減されるのかどうかは分からない。ただ、犯人が一生罰を受け続けるのだと分かれば、一応の納得はできるのではないだろうか。

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