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2009年10月13日 (火)

競馬必勝プログラム

先日、東京のデータ分析会社が、競馬で得た配当金を申告せず、東京国税局から160億円の所得隠しで摘発された。

新聞などの報道によると、この会社は「UPRO社」という名で、実質的経営者は香港在住の英国人だとのことである。

今回の摘発は所得税法違反容疑であり、その元となった3年間で得た約160億円の所得自体は違法でも何でもない。個人的にはそれだけの「勝ち」を可能にした「競馬必勝プログラム」の方に興味がある。

報道によれば、「天候や出走馬の血統、騎手など各データを入力、解析する競馬必勝プログラムを使い、高確率で配当金を得ていたという」。狙いをつけたのは「3連単」。1着から3着までの馬を順番通りに当てるというもので高配当が出ることで知られているタイプの馬券である。因みにこれまでの日本中央競馬会高額払戻金ランキング・トップ10はすべて「3連単」で、最高額は(賭け金100円に対して)1,846万9,120円である。

UPRO社ではその「3連単」を買うに当り、まず3位までに入らない可能性の高い「はずれ馬」を除外し、残る馬ですべての組合せの馬券を購入したという。当然、オッズ(倍率)が高い馬券には小額を、低い馬券には高額をかけ、全体でペイするよう配分したとのことである。

ここでポイントになるのが「はずれ馬」の取捨選択で、それには相当深い知識が必要であろう。また何百、何千とある組合せに対して、適切な賭け金を配分するには統計学の手法なども動員することになる。「はずれ馬」を考慮せず、単純にフルゲート18頭で考えれば、18×17×16=4896通りの組合せがある。その一つひとつに、オッズに従って賭け金を配分するわけだが、オッズというのは時々刻々変化し、1つのレースに大金を投じる人がいると、スタート直前にオッズががらりと変わってしまうこともある(私の知る限りでは競馬場のVIP席ではスタート直前まで馬券を買うことができる。で、大金を投じる人というのはほとんどの場合、レースの直前に馬券を購入する。それは今でも変わらないだろう)。

UPRO社の場合、上記のプログラムを使い、なおかつ1レース当り億単位の資金を投じていたというから、自分たちが馬券を買うことでオッズが変わってしまうことも織り込んでおかなければならない。そうした問題点をすべてクリアした上で年間数十億円分もの馬券を的中させていたというのだから、プログラムとしては大成功を納めていたことになる。

ところで気になることがある。

このシステムの場合、「はずれ馬」の取捨選択が重要なことは言うまでもないが、実は「オッズ」の設定・入力の方がそれ以上に重要なのではないだろうか。果たして、そのデータをどのように入手し、入力していたのか―それが分からない。

信頼できるオッズ・データがあって、それをシステムにロードするだけでよいのであれば、あとはコンピューターの演算能力の問題だが、オッズをマニュアルで入力していたらとても出走には間に合わないだろうし、間違いも起こり得る。

最大で4896通りもある「3連単」のオッズを日本中央競馬会がレース前に公表しているという事実は確認できなかった。では、UPRO社はどのようにしてそのデータを得ていたのか。マスメディアが伝えていない事情が隠されているのではないかという疑念も湧いてくる。

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コメント

はじめまして。競馬予想会社の所得隠しの記事を読んで何かおかしいと思い、ネットで何かヒントになるものはないかと関連文字で検索していてこちらのブログを拝見いたしました。Jackさんが書かれているように「オッズ」の設定・入力にも疑問があるのですが、
2000通り近くもある買い目をどうやって購入していたのかも疑問です。
流しで買うのなら簡単ですが、オッズによって個別に金額を振り分けると2000通り分すべて個別に購入しなくてはなりません。
PATの場合購入金額の上限があるので億単位の投資なんて出来ないと思います。
またWINSで購入するのもありえないです。レース前にマークシートを大量にチェックつけて大金を持って窓口で購入するのでしょうか?(笑)
アルバイトやとわないとできないですよね。
しかも億単位の購入を繰り返していればすぐに怪しまれます。
さらに、国税局はどうやってUPRO社の所得が馬券によるものだと断定したのかもわかりません。馬券の勝ち負けをいちいち帳簿につけているなんて考えられません。ww
私も何か隠された記事ではないかと思いました。マネーロンダリングにからむものか、国税当局の失態を隠すために160億をとりっぱぐれた証拠として記事をかいたとか・・・・考えすぎですかねww

投稿: ヤン | 2009年10月21日 (水) 07時18分

ヤンさん

はじめまして、これからも宜しくお願いいたします。
ご指摘の通り、馬券購入という「実務」面にはいろいろと障害があります。1回の購入限度額が
20万円というのも大きな障害でしょうね。
たとえば1億円分の馬券を購入するには、機械を最低500回操作しなければなりません。1回の
操作に1分かかるとして、所要時間は500分=8時間以上です。レース前の限られた時間で、
必要な馬券すべてを買うには数十人単位で人を動員する必要があったでしょう。或いは、
そうした購入係に雇ったバイトから国税に情報が漏れたという可能性は考えられますが、
いずれにせよ、税収が落ち込んでいる時に、何十億円も取りっぱぐれるとは国税の大失態
でしょう。

投稿: Jack | 2009年10月21日 (水) 09時32分

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