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2009年11月11日 (水)

将棋:第22期竜王戦七番勝負第3局 渡辺が3連勝

昨日(09年11月11日)から京都東本願寺渉成園において将棋竜王戦七番勝負第3局が行われ、後手の渡辺明竜王が104手で挑戦者森内俊之九段を降し戦績を3勝0敗とした。

「木村定跡」と呼ばれる有名な定跡がある。おそらく、投了までの手順が示された最初の定跡ではないだろうか。考案者は木村義雄十四世名人。

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戦型は角交換腰掛銀で、木村名人が得意とした相掛り戦の代表的将棋である。上図が「木村定跡」の基本型。ここから先手は▲4五歩と戦端を開く。

上図から

▲4五歩   △同歩
▲3五歩   △4四銀
▲7五歩   △同歩
▲2四歩   △同歩
▲同 飛    △2三歩
▲2八飛   △6三角
▲1五歩   △同歩
▲1三歩   △同香
▲2五桂   △1四香
▲3四歩   △2四歩
▲3三桂成 △同桂
▲2四飛   △2三金
▲1一角   △3二玉
▲3三歩成  △同銀
▲4四桂   △同銀
▲2三飛成  △同玉
▲4四角成  △4三金
▲4五銀   △4四金
▲同銀まで(下図)

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当然、途中に変化はあるが、本筋としてこの▲4四銀で先手の勝ち、後手投了ということである。これで先後同型の腰掛銀の戦いは決着がついたと思われたのだが、後手側も工夫し、玉を囲わず3一玉のまま△6五歩と先攻する手段を見出した。

そこで先手も対抗する意味で、玉を7九に置いたまま囲わずに、さらに1手早く戦いを開始するようになった(下図)。

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双方の玉が無防備のまま戦いに入る「升田定跡」とも「升田流」とも言われる激しい戦いになる手順であり、未だに明解な結論は出ていない。

で、上の図と下の図を見比べてほしい。

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これは竜王戦第3局の1日目39手目の局面であり、「升田定跡」そのものである。

本局は1日目の午前中に66手まで指され、封じ手が83手目という異例のスピードで進んだ。それもこれも、▲4五歩から戦いを始める手順が定跡化されているのと、その先もプロが指した先例が数多く残されているためであり、ある意味で新鮮味のない将棋ではあった。

その、どこかで見たことのあるような将棋で森内が指した封じ手は予想外の▲6八金右。守りの手だった。ここから、いわばこの将棋は本当に始まったといえる。

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専門家から見たら当然の1手なのかどうか…。いずれにせよ、私にはまるで、自分の攻めが頓挫したことを宣言している手のように思えた。

逆に渡辺が「宣言した」のは勝利の手。観戦していたプロ棋士たちが絶賛した96手目の△7九銀打である。

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攻めっ気の強い私などは比較的簡単に目につく手なのだが、かえってプロたちには、ほかにも有力な手があり、一見無理筋のこの銀打ちは盲点になるらしい。ただし、私の7九銀打は、以下▲7九同金△8七歩打▲同玉△7九飛成▲7八金寄△6九角成という勝手な読みによるもので、渡辺竜王の7九銀打とでは次元が違う。たとえば▲9八玉などと応じられた途端、頭が真っ白になってこちらが投了となるのは必定である。

で、森内の応手は当然のごとくその▲9八玉。

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しかし、渡辺は私と違ってその筋も当たり前のことながら読みきっていて、△6八銀成▲同銀△8八歩打以下、見事に寄せきった。

昨年とは裏返しの渡辺竜王の3連勝。果たしてこのまま一気に押し切れるか…渡辺の心境一つにかかっていると思う。さらに言えば、次の第4局で渡辺が決め損なうとずるずると第7局まで行くような気がしてならない。

次回第4局は11月25、26日に岐阜県下呂温泉で開催される。

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