« 去年の今日 | トップページ | 女子高生の防寒 »

2010年1月13日 (水)

2つの『A Long Vacation』

A_long_vacationfinal_2オリジナルが大ヒットした曲だと、そのカバーというのは相当にパワーがないとオリジナルを超えることができない。

で、超えることを最初から考えず、まったく違う方向に行ってしまうという戦術もあり。1981年発表の大瀧詠一『A Long Vacation』のトリビュートアルバム『A Long Vacation from Ladies』はそのまったく違う方向に行ってしまった作品で、まさに「これはもう新しいアルバム」(アルバム・キャッチコピーから)。

20数年前、『A Long Vacation』(LP盤だった)を初めて聴いた時のこと、「“さらばシベリア鉄道”だけが冬だなあ」とひっかかりを感じた。だが、「さらばシベリア鉄道」自体が気に入ったこともあって、その違和感はいつしか解消してしまった。

それが今あらためて聴くとその違和感が、しまってあったコートをシーズンになって初めて着た時の防虫剤の残り香のようにほのかに漂ってくる。「いきなり冬じゃなくて、秋にしておいてくれればもうちょっとしっくりしたのになあ」。

そこに登場したのが“秋の『A Long Vacation』”である。

2009年11月に発表された『A Long Vacation from Ladies』は、収録曲はオリジナル盤と同一で、曲順も同じ。唯一、今回の収録曲のアレンジを担当した井上鑑(いのうえ・あきら)の「Blue Niagara (Epilogue Instrumental)」がボーナストラックとして加えられている点が異なる。

  1. 君は天然色 / 大貫妙子
  2. Velvet Motel / 金子マリ
  3. カナリア諸島にて / 今井美樹
  4. Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語 / 行川さをり from ジュライム
  5. 我が心のピンボール / イシイモモコ from ハミングキッチン
  6. 雨のウェンズデイ / 尾崎亜美
  7. スピーチ・バルーン / 原田郁子 from クラムボン
  8. 恋するカレン / つじあやの
  9. FUN x 4 / 太田裕美
  10. さらばシベリア鉄道 / 鈴木祥子
  11. Blue Niagara (Epilogue Instrumental) / Akira Inoue

まずしょっぱなの「君は天然色」(大貫妙子)からして、オリジナルとはがらっと雰囲気が違っている。もちろん長年聴いてきた大瀧詠一の歌は耳の奥にしっかりと記憶されているので、あのドラムスティックを打ち合わせてリズムを刻むイントロと否応なく比較をしてしまう。比較すれば、やはりオリジナルの強みが勝るわけで、それは他の9曲すべてに言えることである。

なので、新しいアレンジ・女声の『A Long Vacation from Ladies』は最初はしっくりとしなかった。それが何度となく聴いている内に、オリジナルとは別の、このアルバム独自の味わいが湧いてくるようになった。

もう一つ、このアルバムで特徴的なことがある。それは全員が声量をややおさえ気味にして歌っている点である。それは全体のトーンを統一するためのコーディネーションだったのだろう。

ところで「君は天然色」にはちょっとした“キズ”がある(参照)。その内、“ディンギーが渚を滑る危険”の方は解消されていないが、大瀧詠一が「ディンキー」と歌った部分、今回大貫妙子はは正しく「ディンギー」と発音している。長年の懸案が解決されたようで、ご同慶の至りである。

|

« 去年の今日 | トップページ | 女子高生の防寒 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/220529/47288526

この記事へのトラックバック一覧です: 2つの『A Long Vacation』:

« 去年の今日 | トップページ | 女子高生の防寒 »