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2010年1月10日 (日)

「国宝 土偶展」

1土偶は縄文時代に作られた、人や動物を象った土製品で、主に呪術・祭祀に使われたと推定されている。

土偶は縄文土器同様、ほぼ縄文時代(約1万6000年前から約2300年前)を通じて作られたと考えられており、沖縄を除く日本全土で見つかっている。その数は約1万6,000~1万7,000体。

今回の展示会は、昨年(2009年)9月から11月にかけて文化庁が大英博物館で開催した「The Power of Dogu」展への出品作を再構成したもので、全67点が展示されている。

Photo見に行った後でこんなことを言うのも妙だが、実際に見に行くまで、なぜ自分が土偶を見たくなったのかが分からなかった。それが入口を入って最初に遭遇した「仮面土偶」(写真)を見て即座に分かった。土偶は「焼き物」だったのである。

土をこねて素焼きにした素朴というよりは原始的な造りではあるが、たとえば「仮面土偶」の胴に見られる燃焼の跡は土偶が火の中をくぐってきたことを如実に物語っており、その焼けムラは縄文土器が持つ不思議な力強さに相通じるものを感じさせる。

また決して洗練されているわけではない、顔の造作や全体のフォルム、胴などを飾る刻み文様なども、1万年以上も前にそれを作った人の指先を感じさせ、これまた言葉にならない愛しさのようなものを感じさせてくれる。

土偶は平たかった初期の形状からやがて立体化し、私たちがよく知る立像へと進化した。また作られた目的も原始信仰にかかわりがあるというのが定説になっている。だが、その信仰の具体的内容となるとまだ分からないことが多いようだ。

これまでに1万体以上が発見されている土偶の内、人間を象ったものが大半を占め、また人間でも女性がモデルとなっているものが圧倒的に多い。その1万数千体の土偶で、現在国宝に指定されているのはわずか3点。

この展覧会にはその3点がすべて集められており、上のポスターにも使われている。

左から「縄文のビーナス」(長野県棚畑遺跡出土、縄文時代中期)。最初に国宝指定された土偶であり、妊娠した女性を象ったものと言われている。ふくよかな曲線が魅力的である。

その次が「合掌土偶」(青森県風張1遺跡出土、縄文時代後期)。両膝を立ててすわったポーズが面白い土偶であり、その姿勢は祈りを捧げているかのようだ。

一つおいて、右端にあるのが「中空土偶」(北海道著保内野遺跡出土、縄文時代後期)は現時点では北海道で唯一の国宝である。その名が示すように、体内が中空になっていて、大きさは土偶の中では最大級に属する。写真では分からないが、全身に細かな文様が施されており、技巧の高さがうかがわれる。

以上が国宝3点だが、ポスターにはもう1点土偶の写真が使われている。で、土偶といえば多くの人がこの作品を思い浮かべるのではないだろうか。

Photo_2「遮光器土偶」(青森県亀ヶ岡遺跡出土、縄文時代後期)。「遮光器」とはアラスカのイヌイットなどが使う、雪氷の反射光から目を守るための「スノーゴーグル」に似ていることから付けられた名だが、現在では遮光器との関係は否定され、あくまで眼部の造形様式の進展からあのような形状にたどり着いたものと考えられている。

なお私見だが、この「遮光器土偶」が重要文化財指定で、国宝になっていないのは、左目全体と右目の上半分が修復されたものであり、左足が失われているためだと思われる。ただ個人的には、やはりこの土偶に最も強いインパクトを感じた。

「国宝 土偶展」は東京国立博物館で2月21日まで開催されている。

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コメント

はじめまして。
TB送らせていただいたので御挨拶です。
土偶展、よかったです。思っていたよりインパクトがありました。
個人的に今までは土偶と比べると埴輪のシンプルさに圧倒的に魅力を感じていたのですが、今回土偶をじっくり見る機会が出来、なんだか土偶のよさ、縄文文化の造形美みたいなものに目覚めた感じがします。

投稿: 山手のドルフィン | 2010年1月11日 (月) 12時35分

山手のドルフィンさん

はじめまして。
埴輪がお好きなんですね。今度機会があったら、私も見に行ってみようと
思います。
土偶は決して大きな作品はないのですが確かにインパクトがありましたね。
また一度に、国宝3点を見ることができたのはラッキーでした。

投稿: Jack | 2010年1月11日 (月) 22時51分

長野新幹線を降りた上野駅でポスターを見かけました。
ちょっと行ってみたいかも、と思っていたところでしたので、ナイスタイミングのレビューでした。
ありがとうございます!

投稿: baldhatter | 2010年1月13日 (水) 12時16分

長野での久しぶりの再会、ブログで読みました。
貴重な良い時間をすごされたようですね。

土偶展、けっこうな人出のようです(私が行ったときは
それほど混雑していませんでしたが)。展覧会は
最後の1週間が混みます。穴場は会期途中の雨の
平日です^^V

投稿: Jack | 2010年1月13日 (水) 14時27分

> 長野県棚畑遺跡出土

そういえば、今回ブログに書いた長野の知人宅ですけど、まだ小学生の私が遊びに行ったとき、隣接している畑から縄文土器のかけらがたくさん出てきましたよ。あの辺は多いんですね。

投稿: baldhatter | 2010年1月13日 (水) 22時27分

>あの辺は多いんですね

そのようですね。「縄文のビーナス」以外に、「仮面土偶」も長野出土で、茅野市教育委員会の所蔵品です。縄文土器の方に話を移せば、群馬県も優れた作品が数多く発見されています。弥生時代辺りまでは、北関東や長野って結構栄えていたようですね。

投稿: Jack | 2010年1月14日 (木) 23時21分

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年末にくぅから土偶展のお誘いをいただいてました。 [続きを読む]

受信: 2010年1月11日 (月) 11時57分

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