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2010年3月24日 (水)

「…をかける」

これ、芸能人に多いか。

不祥事を起こした芸能人が記者会見で、「このたびはご迷惑、ご心配をおかけし、申し訳ありませんでした」といった謝罪の言葉を口にする。

で、それを聞くたびに「この人は心の底から謝ってないんじゃないか」と思う。

「…をかける」と一口に言っても、「…」によっては意味あいがだいぶ違ってくる。

■母親には心配のかけどおしだった。
■今度のことでは、君にも迷惑をかけたな。

不祥事をしでかして、「ご迷惑をおかけしました」は、まあ妥当な謝罪だとしよう。実際に、「迷惑を被った」人間なんて、被害者とその周辺の人たちのほかには、不祥事をしでかした本人とその取り巻き連中ぐらいで、本人が思うほどにはその影響力は限定的だったりするのが大半だが、そのことは措いておくことにしよう。

しかし、「ご心配をおかけしました」は看過できない。世界68億人とまでは言わないが、日本の1億2000万人中、お前のことを心配した人間なんてほとんどいないよ、と言いたくなる。たぶん、どちらも「…かける」と同じ動詞を使うので、まとめて口にしているのだろうが、そんな無神経な言葉遣いでは謝罪の真意は伝わらない。

また時々だが、この人は本気でみんなが(相当数の人たちが)自分のことを心配してくれたと信じているのではないかと思えることもある。そうした自己中心的な発想しかできないから問題を起こしたのか、芸能界で生きていくためにはそれぐらいの図太さが必要なのか。

ではどんな言葉が適切なのか。幸いなことに私は世間を騒がせるほどの有名人ではないし、大勢の人に謝罪しなければならない不始末を起こしたこともないので想像で言うしかないが、「ひな型」や「テンプレート」に頼らず、自分の行いがどんな影響を及ぼしたかを真剣に考えれば適切な言葉は自ずと出てくるだろう。

無論、そんな言葉の心配をしないで済むよう、不祥事を起こさないのが一番であることは言うまでもない。無事は人生の幸であり、蕪辞は人生の不幸を呼ぶ。

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コメント

たしかに、「ひな型じゃなく自分の言葉で伝えればいいのに」と思うことはたびたびありますね。

ただ、「ご心配をおかけしました」については、実態を伴わなくてもひとまず「おかげさまで」という枕詞を付けてしまう、という "曖昧な日本人の私" 的言辞の一種と考えることもできるかもしれません。思い切り甘く見て、ですが。

そもそも「不祥事」という言葉遣い自体、当事者の責任のあり方を不明にしている、という趣旨のことは以前拙ブログにも書きましたが。

投稿: baldhatter | 2010年3月25日 (木) 01時13分

犯罪すらも「不祥事」と言い換える―それでとりあえずのイメージ悪化、ダメージ増大を
阻止する。姑息といえば姑息な手段ですが、けっこうまかり通ってる気がします。
効果があるかどうかは別ですが。

投稿: Jack | 2010年3月25日 (木) 22時40分

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