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2010年7月11日 (日)

ワールドカップ決勝前に観ておくべき(だった)映画

実は私がこの映画のことを知ったのは今日(2010年7月11日)の午後1時頃だった。

急いでネットで調べると、今日は午後1時と3時の2回上映予定がある。大慌てで準備をし、家を出たのが午後1時20分頃。渋谷にある会場に着いたのは午後2時半で、幸いなことに間に合った。

映画のタイトルは『レフェリー:知られざるサッカーの舞台裏』。EURO 2008に参加した審判たちの姿を描いたドキュメンタリーである。

映画は、審判たちが乗った車が白バイに先導されてスタジアムに向かうシーンから始まる。その後すぐに試合へと場面が移り、審判たちが無線を使って交わす会話の緊迫した声音と内容が、数万人の観客と、テレビの前で見つめている数億人の視線がもたらす重圧を感じさせる。

試合終了のホイッスルを吹いた後、主審が選手たちにかける言葉も想像とはまったく違っていて、「すまなかった」、「あれはオフサイドだった」など謝罪の言葉が少なくない。審判はもっと毅然としているものだとばかり思っていたので、これは少々驚きでもあった。

映画は、イングランドのハワード・ウェブとイタリアのロベルト・ロセッティというチャンピオンズリーグなどで知られ、今回の2010年FIFAワールドカップでも笛を吹いた2人の主審を中心に展開していく。

オフサイドを見逃し落ち込む仲間の副審に言葉をかけるウェブ。夫たちの姿をテレビで見ながら喜び、残り時間を気にするイタリア審判団の妻たち。息子を誇りに思うと胸を張るウェブの父親と、過大な責任を負わされていると息子を気遣う母親。

準決勝の様子をひとつの部屋で見る審判たち。イタリアの敗退が確実になり、ひやかされるロセッティ。プライド、葛藤、喜びといった、試合を見ただけでは決して知ることのできない審判という「黒衣の素顔」を見た時、国際サッカー大会という巨大イベントも結局は人間が支えているのだということを実感する。

できれば、試合中に主審で10km以上、副審で7km以上を走ると言われている彼らがどれほどの努力でそのフィットネスを維持しているのかを紹介してほしかった気がする。なにしろ、審判は選手に比べれば平均年齢で10歳以上うわまわっている。ほとんどが30代後半、中には40歳を超える者もいる彼らの精進の様子を見たいと思った。

結局オフサイドを見逃し、さらにはPKの判定で、ポーランドの首相から「殺してやりたいとさえ思った」という物騒なコメントをもらったウェブは大会が終了する前に帰国の途に着き、ドイツ対スペインの決勝戦はロセッティが担当することとなった。

帰国したウェブも、母国が決勝に進んだために主審に選ばれることのなかったスペインのゴンザレス審判も、その決勝戦を家族や仲間と共にテレビで観戦する。

ロセッティがドイツのバラックとスペインのカシージャスに同時にイエローを出したシーンでは、「Yes, he is perfectly right.」(ロセッティは100%正しい)とウェブが叫び、ゴンザレスは「ゴールキーパーが出て行って抗議したらイエローなんだ」と少し悲しげな表情で傍らの女性に説明する。彼らもまた、心の中でロセッティと共にピッチに立ちジャッジしていたのである。

そのロセッティは今回のワールドカップを最後に国際審判からの引退を表明。EURO2008の決勝の笛を、母国の優勝と引き換えに逃したゴンザレスは年齢制限により今回のワールドカップには選ばれず、ミスジャッジでEURO2008では途中帰国したウェブが今夜、ワールドカップ決勝という大舞台に立つ。そして第四の審判は西村雄一、予備副審は相楽亨の日本人である。

今夜の決勝、これまで以上に審判に目が行く試合になるだろう。

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