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2010年7月20日 (火)

時代は変わる:ワンボックスカーの売り方

変わる、変わるよ、時代は変わる ― 中島みゆきの『時代』をもじってみたが、人生60年近くを閲するといろいろな変化に出くわす。

重い変化もあれば軽やかな変化もあり、ちょっと気づきにくい変化もあれば、誰の目にも明らかな変化もある。

今回は比較的分かりやすい変化を取り上げる。

「VOXY(ヴォクシー)」という名の車がある。いわゆるワンボックスカーである。CMキャラクターには反町隆史が起用され、「男旅」というキャッチフレーズで広告展開している。

ご覧になった方も多いだろう。子犬を拾い、「犬探してます」のビラに書かれた番号に(この頃はめったに見つからない)電話ボックスから電話をかけ、「お困りでしょう」の一言で300km以上離れた飼い主の元に届けるというストーリーである(参照)。この際、生後数か月の子犬がどうやって300kmも移動したのかとか、反町くんはあのビラをどこで手に入れたのかといったリアリティへの突っ込みはなしにするが、気になったのが、ファミリーカーの代名詞的存在だったワンボックスカーを、「男っぽさ」を前面に押し出して売っているという事実である。

我が家が子育て真っ最中だった頃にもワンボックスカーはあった。日産セレナが代表格で、少し遅れてホンダ・ステップワゴンというのも登場した。だがその売り方はあくまでファミリーカーだった。知り合いにセレナを購入した男がいたが、「子どもが小さいうちはワンボックスでもしょうがないよ」と諦め口調で購入の経緯を語ってくれた。

私たちの世代では、ワンボックスカーを買うというのは「家族サービスの一環」であり、はっきり言って妥協だった。当然世の中には「妥協しない父親」もいるわけで、セダンの屋根にルーフキャリアを取り付け、そこに用具一式を乗っけてキャンプでもスキーでも出かけて行った者もいる。

たぶん、そのことは車メーカーも気づいていたのだろう。どうにかして、そうした「妥協しない父親ども」を取り込みたい。その結果「男っぽさマーケティング」が生みだされたのではないか。

現在はトヨタ・ヴォクシーが目立っているが、同じトヨタではアルファード/ベルファイアというモデルが一時期俳優のジャン・レノを起用して「ダンディ路線」で売っていたし、ライバルの日産も「エルグランド」というモデルで、「ファミリーカー」という切り口をいっさい使わず、「男の車」といったコンセプトで宣伝している。

そうしたメーカーの努力をけなすつもりはないが、それでもやっぱりワンボックスカーはファミリーカーであるという事実は打ち消せない。おそらく購入した人たちもそのことは分かっているに違いない。そこで最後にボディカラーだけは俺の好きにさせてくれとなるようだ。

車を購入する時は、男性(夫)がモデル(グレード)を選び、女性(妻)はボディカラーだけ選択権を与えられるというのが一般的パターンらしいが、こと男っぽい系ワンボックスカーだけは逆のようだ。

かくして、我が家の隣から続けて3軒すべて、駐車場に止めてあるのは「黒のワンボックスカー」となっている。

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