« デッキブラシに蛹 | トップページ | 1000m完泳 »

2010年8月26日 (木)

飛行機飛び

小学校6年生、私は肥満児だった。身長155cmで体重は60kg。それでも「飛行機飛び」だけは飛ぶことができた。

休み時間になると校庭に飛び出して行き、校内でいちばん高い鉄棒をジャンプしてつかむ。懸垂気味に体を引き上げつつ、右足を上げて鉄棒にひっかける。それを支点に体を振り子のように振ると一気に棒上に体を持ち上げる。次に右足で鉄棒を踏みつける。両手と右足で棒の上に乗っかった状態だ。左足は下にだらりと下げ、それで全体のバランスを取る。呼吸を整えてから、左足を引き上げ、両足で棒の上に乗る。もちろん両手は鉄棒を握りしめている。腰を少し上げ、競泳のスタートのような「クラウチング・スタイル」をとってから体を後ろに倒す。鉄棒を中心に体がぐるりと回転したところで、両足を鉄棒からはずし、前方へけり出す。同時に全身を投げるように押し出し、手を放す。一瞬、体がふわっと浮き上がり、その直後両足が砂場の砂を踏みしめる。

あの1秒の数分の1といった刹那の浮遊感が楽しく、また鉄棒からどれだけ遠くまで飛べるかを競い合いながら、私たちは休み時間の度に飽きることなく飛び続けていた。その周りには、飛行機飛びができない子たちが遠巻きに見ていることもあった。そう、飛行機飛びができるのはちょっとした英雄でもあったのだ。

飛行機飛びにも難易度の違いでランクがある。まず鉄棒に上がる方法からして、私のような「足かけ上がり」もあれば、空中逆上がりでスマートにあがる子もいる。

飛び方の初歩は、とにかく鉄棒にあがって両足裏が鉄棒に接っする姿勢になったら即座に飛んでしまう。(上に説明したような)「クラウチング・スタイル」をとってから飛ぶのは中級だ。

さらにトップレベルになると、鉄棒上でいったん立ちあがって直立姿勢になってから(当然両手は鉄棒から離れている)、後ろに体を倒しつつ鉄棒をつかんで飛ぶというもの。また、膝を曲げるか、伸ばし気味にして体を回転させるかで難易度が異なり(当然、伸ばし気味で回転させる方が難易度が高い)、棒をつかむ位置も足の内側と外側があり、外側をつかんで飛ぶ方が難しかった。

学年でNo.1のN君はその「外側グリップ伸脚飛行機飛び」ができた。私は「内側グリップ・クラウチング飛行機飛び」が精いっぱいだった。

飛行機飛びがすたれたのか、その前に卒業してしまったのか、特に記憶に残るような危険な出来事もなく、私の「飛行歴」は小学校で終わった。

それから数年後、高校生の時に一度だけ飛行機飛びに挑んだことがあった。両手で鉄棒をつかみ、逆上がりで体を棒上に引き上げた。右足を棒上にかける。しかし、そこから左足を棒の上まで引き上げることができない。何度かトライしたが結局断念。

あの時と、飛行機飛びを飛んでいた小学生の時と何が違ったのか…体重は同じく60kgだったが、身長が170cmを越えていた。それが理由だったのかもしれない。

来年われわれは還暦を迎える。6月には中学校の同期会がある。むろん、同じ小学校出身者もたくさんいる。N君やほかの飛行仲間に会ったら、今でも飛べるやつがいるか尋ねてみることにしよう。

ブログネタ: 【入賞者発表】子どもの頃にしてた、今では考えられないことは?参加数拍手

|

« デッキブラシに蛹 | トップページ | 1000m完泳 »

身辺雑記」カテゴリの記事

コメント

動作はほぼ理解できましたが、「飛行機飛び」という名前を使った記憶がありません。その辺も、Jack さんとの世代の違いでしょうか。それとも地域?

投稿: baldhatter | 2010年8月27日 (金) 23時55分

>「飛行機飛び」という名前を使った記憶がありません。

こういう遊びはやったことがあるということでしょうか。

実は「飛行機飛びは危険である」として、禁止された時期があった
ようです。詳しいことは分かりませんが、私たちの年代前後から、
地域によっては禁止する学校(教育委員会)があったようです。
現在はどうなんでしょうか…。禁止というより、この遊び自体が
あまり知られてないような気がしますね。

投稿: Jack | 2010年8月29日 (日) 00時57分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/220529/49256704

この記事へのトラックバック一覧です: 飛行機飛び:

« デッキブラシに蛹 | トップページ | 1000m完泳 »