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2010年8月20日 (金)

目の話:初めての眼医者

私のような仕事をしていると、1日7、8時間、多い時には12時間ぐらいPCのモニターを見つめていることがある。当然、目にかかる負担は相当なものだ。そのせいか、若い頃は一度もかかったことのなかった眼医者だったが、45歳を過ぎてからは毎年お世話になっている。

今年も再来週、検診を受けに行く予定である。

生まれて初めて眼医者に行ったのは1997年の夏、45歳の時だった。妻が入院していた頃から、何となく次女の視力が気になっていたのだが、こちらに気持の余裕がなかったせいか、ついつい先伸ばしにしていた。それが、妻が亡くなり1か月あまりして、はっと次女の目のことに思い至り、どうせ行くならとばかり長女と長男も引き連れて小学校の校医の眼科医院を訪れた。以前から気になるところのあった私もついでに診察してもらうことにした。

結果的に、私はかなり乱視と老眼が進んでいた。それは自覚症状もあったことなので、「ああ、やっぱり」という感想だったのだが、子どもたち全員が真性近視で、眼鏡が必要なまでに進んでいたのはショックだった。

ことに次女の視力は相当悪く、「なぜここまでほっといたのですか」と、50代半ばぐらいだろうか、鬢に白髪のある温厚な顔立ちの女医先生にその時はかなり強い調子で問い詰められてしまった。それも無理ないことだ。幼稚園児の近視である。親ならとっくに気づいていなければならない。

「妻がずっと入院していたもので…」たぶん、あの頃の私は気持が弱っていたのだろう。親としての怠慢を指摘する先生の言葉にそう答えていた。

「それは大変だったんですね」と、先生の言葉からは詰問口調がたちどころに消え、こちらの事情を察してくれ、「で、奥さんはお元気になられたのですか」と気遣ってくれた。
「先月亡くなりました」と、なぜか私は正直に事実を口にしていた。その途端、先生が椅子から立ち上がり、「大変不躾な質問を致しました。申し訳ありません」と深々と頭を下げた。人からあれほど丁寧に、心を込めて詫びられたのは初めての経験だった。
「いえいえ、とんでもない」そう返すのが精一杯だった。
「誠にご愁傷さまでした。心よりお悔やみ申し上げます」先生は再び頭を下げた。

私の人生初の眼科診察はこんな風に少々変わったものとなった。

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