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2010年9月24日 (金)

尖閣諸島問題について (2)

今日(2010年9月24日)午後、尖閣諸島沖で衝突事件を起こした中国人船長を処分保留で釈放すると那覇地検が発表した。

理由は、巡視船の損傷が軽微であること、負傷者がいないこと、被疑者が民間の一船長であり計画性がないこと、また日本国内での前科もないことを挙げた上で、「国民への影響と今後の日中関係を考慮し、これ以上の勾留、捜査継続は相当でない」と会見した地検次席検事は述べた。

しかしこれは三権分立の建前からしても、「政治主導」をうたう民主党の政策から考えてもおかしい。地方検察庁が判断すべき問題ではないはずだ。こんなことが許されるなら、外務省も内閣も不要だろう。

仙谷官房長官は記者会見で、「刑事訴訟法248条の意を体して判断したとの報告を受け、それを了とする」と説明したが、これもまたおかしな話である。刑事訴訟法248条は

「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」

と規定している。この条文をよく読んでほしい。「訴追を必要としないとき」であって、「勾留、捜査が相当でないとき」ではない。こんな恣意的な法の運用がまかり通るようで果たして法治国家だろうか。しかも「政治的判断はなかった」と地検も官房長官も言明している。

随分と腰の引けた内閣である。

仮に政治的判断によって早期釈放を決定したのなら、そのことを世界に正々堂々公言し、国民には説明責任を果たせばよいではないか。まるで地検の陰にかくれ、地検に責任を取ってもらって助けられたような格好である。

おそらくはフジタの社員4人が中国政府によって拘束されたことが大きく影響したのだと思う。まさか人質作戦まで取るとは予想していなかったのだろう。虚をつかれ狼狽し、一方でアメリカ政府高官(国防長官と統合参謀本部議長)の「尖閣諸島も安保の対象となる」という趣旨の発言を得たことで“安心”してしまったのだろう(なお、クリントン国務長官が同様の発言をしたと伝えられているが、そのような発言は確認されていないという説もある=参照)。

だが尖閣諸島で有事となった時、アメリカ軍が本当に出動するかは大いに疑問である。西太平洋の安全保障がアメリカにとってそれほどの(兵士=自国民の生命を危険にさらすほどの)重要性を持つとは思えない。また万一戦争などになれば、アメリカ国民は政府を非難するだろう。それはアフガニスタンやイラクへの介入とはまったく性質が違うからだ。

今回の日本政府の対応が将来どんな結果に結び付くのかは軽々に断定できないが、アメリカが振り出した安保発動の空手形で、尖閣諸島を中国に渡すような結果になったら、日本という国は国際社会から軽視どころか、まったく無視されるようになるだろう。

それと今回気になったのが、中国の姿勢があまりに性急で強硬なことだ。胡錦濤政権が何かに脅えているかのようにさえ見える。では何に脅える必要があるのだろう。根拠があるわけではないが、中央政権・中国共産党が無視できない強大な勢力が中国内部に生まれつつあるのではないか。そんな気がしてならない。現在あの国は世界第4位の軍事力を有しており、ことに陸軍(兵力170万人)は世界最大である。加えて、このところ海軍の増強が著しい。既に航空母艦の建造も始まっているという。海軍や航空母艦は基本的には防衛ではなく攻撃用軍事力である。そして過去に軍閥を生み出した国でもあり、領土拡大にも熱心な国である。

中国語が多少でき、中国にも行ったことがあり、日常の仕事でも中国からの観光客や日本で働く中国人に接することの多いある人物がこんなことを言ったことがある。

「中国人の自分の目的を達成するためなら手段を選ばない強引さには辟易する」

私も個人的経験からこの意見には同感である。

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コメント

中国も日本人の拘束など対抗措置で経済界からの政府へのゆさぶり
の画策とか強気ですね
なんでも なあなあ の日本人甘く見られてしまっているんですね

投稿: 太郎 | 2010年9月27日 (月) 00時01分

太郎さん、はじめまして

新しいエントリーにも書きましたが、私はブログであまり政治問題は
取り上げることはしてこなかったのですが、今回のこの問題だけは
見過ごすことができないと思いました。

これまでも日本は外交ベタと言われてきましたが、今回の件は、
その評判にあまえるように、或いは利用すらして、責任ある対応
を避けていたように思えます。

これからもこの問題は折あるごとに取り上げてゆこうと思っています。

投稿: Jack | 2010年9月28日 (火) 14時33分

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