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2011年2月19日 (土)

2,000億円の行方

法律的解釈と我々一般市民の感覚に乖離があることはたびたび感じるところだけれど、今回の消費者金融「武富士」創業一族の相続に関連した一件は、その金額の大きさも併せて一般市民にはどうにも腑に落ちないことが多い。

経緯を簡単にまとめると、2005年(平成17年)、前年に死去した武富士創業者武井保雄氏から遺産を相続した長男俊樹氏が、海外在住を理由に相続税を納めなかったのは税法違反だとして国税庁から1,300億円を追徴課税され、延滞税などを含めおよそ1,585億円を納付。その後武井俊樹氏が課税処分の取り消しを求める訴えを起こした。

昨日(2011年2月19日)、最高裁が課税措置を不当とする判決を出し、武井氏側が逆転勝訴。利子に当たる「還付加算金」を加えて合計約2,000億円が返却されることになった。

まず納得のいかないことの一つめは、日本以外の国に住んでいる場合に課税されないという点。確かに海外赴任などで、日本以外で生活をしている人に課税するというのは酷かもしれないが、それは所得税や住民税などであって、相続税まで対象となるのはヘンではないだろうか。

法理上はどのように解釈されるのか定かでないが、個人的視点から言えば、行政府や地方自治体のサービスを受けることがない海外居住者であれば、所得税や住民税は納税する義務はないだろうと考えられる。

しかし相続税は、それらの税とは少々性格が違うのではないか。というのも、日本国内に在住していた親が築いた財産を引き継ぐのであるから、それに伴う税もまた日本国内で納めるべきだろう。

現在は法律が改正され、親か子のどちらかが贈与前5年以内に国内に居住していれば課税対象になると規定されているので、この武富士のようなケースは生じないことになる。

次にその利子(還付加算金)が多額である点がおかしいと思う。無論、本来は自由に使えることができた資産を公権力によって一定期間(今回は約6年間)、無理矢理凍結されるわけであり、その間に被る不利益を考えれば、ある程度の利子を上乗せして然るべきだとは思うが、定期預金でさえ年利0.2%からせいぜい0.4%という現在にあって、年利7.3%(国税通則法第58条による)という還付加算金の利率は法律に定められているとはいえ「法外」である。

こういう利率も一般銀行の実勢金利に合わせるなど、一般の感覚からしても納得のいく範囲に収まるようにしてほしいものである。

武富士(2010年10月倒産)に関しては、法定金利と実際の金利とに差があり、結果的に利子を過払いしていたという利用客から返還請求訴訟が起こされており、その金額は合計で2兆円を超すとも言われている。しかし武富士にそれだけの返還に応じる資金がなく、戻ってくるとしても数%程度ではないかということだ。

さて武井俊樹氏は返ってくる2,000億円をどうするのか。法律的には「個人資産」であり、法人である武富士の過払い金返済に充当するべき謂れはないのだが、どうだろう、この際「利子分」の400億円だけでも返済に回しては。

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